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昨日言われていたように、赤司くんからメールが入った。先に自主トレ始めているそうなので後から来てくれ、とのことだ。迎えをよこすって言ってくれていたけどそういえば私はその迎えがどの車だとかどの人だとか分からないんだけどどうしよう、と考えていたけどできる執事?さんお手伝いさん?分からないけどドライバーさん自ら私に声をかけてくれたので事無きを得た。
で、ですよ。ジムに来たはいいけど、入って早々赤司くんに「そのメニューこなしてくれ」とだけ告げられてホワイトボードに書かれたものを見ればなかなかに量の増えたメニューが書かれておりました。まぁ、私も仮にも運動部でしたからね、これくらいで怯まないよ。
ただですね…
「……ッ、」
私が腹筋を勤しむ傍ら、赤司くんが尋常じゃない勢いでランニングマシーンに乗ってるんです。汗とかやばいけど。え、てゆうかあのペースランニングとかじゃなくない?赤司くんの息の上がり方も相当な気がするんだけど…え、いつ止めるの?大丈夫なの?
「……ハッ、…」
結局、私が腹筋100回+ストレッチ、腕立て100回、背筋100回終わるまで赤司くんはあの異常なペースで走り続けた。というか私は私でそれぞれの筋肉がびきびき不穏な音を立てている気がするんだけどね。
「あ、赤司くん…大丈夫?」
「……あ、ぁ」
「そ、そう…」
話しかけちゃいけなかった。めっちゃ息上がってるのに話をさせる方がおかしいね。すいません。クールダウンのためか赤司くんはそのままうろうろとジムの中を歩き回る。首筋だとか額からさ汗がとどまることがない。うん、美形なためになんとも色っぽい。しかも息が上がってるせいで吐息つきだからね。ほんと赤司くんファンの人がこんなの見たら卒倒ものなんじゃないかと。さて次は私もランニングをしなくちゃいけない。もちろん赤司くんみたいなあんな勢いではしない。というかできない。
タッ、タッ、と軽快なリズム。横目で赤司くんをとらえるとどうやらもう息を整えたようで筋トレを始めていた。
「苗字さん、もう少しペースあげてみようか」
「え」
ガシャン、とやっていたウエイトを置く音がする。赤司くんはこちらに真っ直ぐやってくると、マシンのボタンをぽちり。
「え、赤司く…」
「これで30分、いこうか」
え、嘘。なにこれ。私知らないけど、あの中学のとき鬼畜主将だったと噂のあの感じですか?え、だって私そんな、部員じゃな…
「どうしたの名前さん、もっと上げる?」
私はできる限り首を横に振った。
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