GandC | ナノ
06

そしてその翌日、私はさっそく赤司邸ジムにてトレーニングに励みました。トレーニングって言っても、体作りがまず主だからストレッチを念入りにやったり少しジョギングと筋トレをした程度だ。床にマットレスを引いて、豪勢なトレーニングマシンを眺めておりましたよ。それにしても、だ。もうほんと、私の体ガチガチすぎて!もともと体が柔らかい方ではなかったにしろストレッチしたら本当にギシギシと音が出そうなレベルで、ジョギングもしたはいいけどなんていうか、過去に走ってた記憶があるせいかその頃と比べたら格段に重たくて…。これはちょっとショックかもしれない…。赤司くんの申し出を断ろう断ろうと奮闘していたけど、自分のためにもこれは運動した方がいいかも。

と、トレーニング初日を終えた感想というか心境はこんなところ。そしてこともあろうに赤司邸で夕飯を頂いている。茶碗蒸しが絶品すぎておかわりまで頂いてしまった。(お手伝いさんが目ざとく声をかけてくれたのです!)

「苗字さん、あんなに体固かったっけ?」

「う、…もともと柔らかい方じゃないけど、運動やめたらストレッチもしなくなったからさぁ…」

「中学のときも長座体前屈だけひどかったもんね」

「そうなんだよ、あはは…………」

なんで、中学の長座体前屈(おそらく春の体力測定のもの)を覚えているんだろう…。なんかいい気持ちになっていたのに少し悪寒が走った。そういえばあの最初の盛大なよく分からない告白もあるし、赤司くんの頼みに応えるのはいいとして気を抜いてはいけない。ちょっと今までこう考えるのは避けてきたけど、彼に付き合う以上はっきりしないといけない。赤司くんは変態だ。残念なイケメンってこういう人のことを言うんだろうな…。

「苗字さん」

「なに?」

「僕もトレーニングをしないわけにはいかないから明日からは一緒にジムでやろうと思うんだ」

そっか。赤司くんは今もバスケを続けてるんだっけ。中学からずっとって、相当好きなんだなぁ。

「日によって違うけど、もし僕の都合がつかない時があったら迎えを出すから、勝手に入ってきていいからね」

「う、うん?わかった」

トレーニングは一緒にするんじゃないのかな?赤司くんなしでもやれってこと?ん?よく理解せずに返事をしたのがばれていたようで赤司くんは少し笑ってちゃんと説明してくれた。

「僕も練習に参加する日もあるし、取ってる授業の関係で君より遅かったり早かったりする時があるからね。ちゃんと連絡はするからそのようにしてくれるかい?」

「あぁ、なるほど。了解です!」

にこり、と微笑む赤司くんは本当に美人さんだ。もう本当にこの顔と中身、というかその性癖のギャップが激しすぎて危うく忘れてしまいそうになるのがとてつもなく厄介だ!



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