GandC | ナノ
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晴れて私も大学生であります!と張り切ってはみるものの、入学式やらサークルの親観やら初授業etcはもうとっくに終わっていて初夏どころかもう何もしていなくたって汗が流れてしまう日がある程度に夏を迎えていた。ついでに言うと実家を離れて一人暮らしを始めていて、引っ越ししてすぐに入学式とかそういったバタバタした感じになるのは嫌だったので3月過ぎて少ししたらすぐに実家を出ていた。まだ半年とは言わないもののだいぶこの生活にも慣れてきたってところですね。コンビニで週2、3回バイトもしてゆるゆるしたスローキャンパスライフを謳歌中なある日、私は本当に思わぬ再会を果たしたのであった。

今日の授業はすべて終わり。バイトもないし帰って先にシャワーを浴びたら、今日は夕飯に力を入れてみようかな、と何を作るかも決めていないのに意気込んでいた。友人はまだこの後授業があるからと言って早々に別れて、たらたらと歩いていたその時だ。


「苗字、さん!」


後ろから私を呼ぶ声。しかもなんだか必死。もちろん聞き覚えはない。でも確かに呼ばれたのは私の名前だったので、同じ名字の人かな、とも考えながら念のため振り返ってみた。
聞き覚えは確かになかったのだけれど、視界いっぱいに広がった綺麗な赤い髪を見て眠っていた記憶が鮮明に蘇った。

「赤司、くん……?」

こんなド派手な色した髪色で、しかもこんなイケメンな同級生を忘れるはずがない。しかもあの「キセキの世代」のキャプテンだった人だ。いや、私はバスケ詳しくないからどんだけすごいとかはよく知らなかったんだけどとりあえず全中三連覇もしてるしその実績からめっちゃすごいのだろうってことしか分からないんだけど。

いや、びっくりしたのはその赤司くんとの久しぶりの再会に、ではないのだ。さっきも言ったようにつまり赤司くんは一種の有名人だ。同じ中学で彼のことを知らない人はいなかったと思う。一応私は2年のときに彼と同じクラスだったけどそう関わったことも他愛ない会話をしたような記憶もない。(いや実際してたかもしれないけどもうだいぶ前の話だし)そんな彼と同じ大学だったことにもびっくりだけど、まず気付いてくれたことにびっくり、だ。しかも赤司くんの方から声をかけてくれるなんて。

私が赤司くんの名前を呼べば、彼は少しはにかんだ。すげーイケメンですごちそうさまです。

「久しぶり!同じ大学だったんだね、知らなかった」

「あぁ、僕も今青野さんを見るまで知らなかったよ」

まぁ、せっかく中学の同級生の会ったわけだし簡単に挨拶してこれで終わりかと思った。だってまず話すこともそうない。私が知ってる赤司くんのことなんてさっき言った中学のことと京都の高校に行ってたってことぐらいだ。

「ねぇ、少し話をしないかい?」

だから、まさかこんなことになろうとは夢にも思わなかった。





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