GandC | ナノ
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赤司くんとのトレーニングを始めてから結構経った。体づくりから始まった軽い運動から今やすでに筋力アップのためのトレーニングに変わっている。時にはがっつりやるときもあって翌日階段の上り下りに顔をしかめてしまうほどの筋肉痛に見舞われてしまったこともあったり。こうなってくると自分で見ても、うん、がっしりしてきたな!なんて思ってしまう。上腕二頭筋は腕を曲げれば、この年の女子にあるまじき盛り上がりを見せるし割れてこそいないものの腹筋もそうとう固くなってきている。足だってつま先立ちをすればふくらはぎについてる筋肉がわかる。ここまでしっかりバランスよく筋肉がついているのを見るとさすが赤司くんの組み立てたメニューだなって感心さずにはいられない。ごはんも赤司くんの家のご馳走を頂いていて、なんというかかなり充実した健康生活!

と、まぁそんな感じで順調に生活していたわけなんですが。

「…………苗字?」

「なんでしょう?」

「………いい、体してらっしゃいますね」

「やだー高尾セクハラー!」

「「……」」

クラス会(?)なうです。ちょっと前に電話貰ってた件で、集まれる人だけ集まろうってことで居酒屋に集まって最近の近況報告、みたいな感じでわいわいやっていたんだけれど。だいぶ皆好き勝手やり始めたところで、今日の幹部である高尾様じきじきに私に声をかけて頂いたところです。うん、沈黙が痛いね。高尾のじと目怖いね。気まずくておもむろにグラスに手を伸ばす。カルピスです。おいしい。

「お前なぁ…前言ってたあの話、受けたんだろ」

「は、いや、そんな…」

「運動部でもないくせにそんなしっかり体鍛えてるやつがいるかってーの」

「うぐ…」

何も言えない。高尾は呆れたように溜息をついているし。というかなぜ私はいけないことをして怒られている子どものような気持ちになっているんだ。何事も順風満帆だからいいじゃん。高尾が変に勘ぐってるだけだし。

「ったく、何かあった後じゃ遅ぇんだからなぁ」

あ、もしかして酔ってんのかな。意外。いつものに輪をかけて笑い上戸になるのかと思った。こう、説教くさくなる感じ?お父さんかよって空気を感じるのはそのせいかな。

ちょこっと話した後、高尾は他の子に呼ばれて行ってしまった。それからは私もまた他の子たちの近況報告に耳を傾けて少し昔話をして、みたいな感じで過ごしていた。

まぁ…高尾はああゆうけど、赤司くんに限ってそんなことはあり得そうもない。いや、ぶっちゃけると筋肉に触りたい、くらいは思ってそうだけど。だって最近すっごい見てくるときあるもん。あれ無意識なのかなぁ。別にいいけどね。赤司くん、自ら性癖暴露してるわけだしそのために協力してるのに見ないで!とか言えないしねぇ。ご飯頂いてる身だし(※重要)

そして筋肉フェチの友人に、目を輝かせながら上腕二等筋触られて帰ってきました。



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