メランコリック
あぁ、今日もかっこいい。何しててもかっこいいんだけどやっぱりサッカーしてるときが1番かっこいい。明日から学校だし、テストも近いけど別にそんなことは気にしない。最近の生活で1番楽しいもん。マークを見てるのが。
「お、名前!最近よく来るな!」
「間違っても君に会いに来てるわけではないので」
「『さっきのシュートすごかったね!』くらい言えないのかよ!」
「え、シュートしてた?」
「はぁ…」
ごめんよ、一之瀬。君がいなかったら私はマークを知りもしらなかったけどね。その分においては多少感謝はするけど、別に君のプレーに興味は欠片もないのだよ。
「どうせマークだろ」
「ここここ声が大きいよっ!」
「大丈夫だって。皆まだ練習して…」
「カズヤ、さっきディランが呼んでたぞ」
「「!?」」
思わず一之瀬の後ろに隠れてしまった自分を呪いたい。不自然だろ、明らかにおかしいだろ!何してんの私いいいいいい!いやでもだって、いきなり、心の準備が出来てなかったわけで、ああああ、もうどうしよう!
「あぁ、ありがとうマーク」
「今ドリンク買いに行ったみたいだから、向こうにいるはずだ」
「分かった、行って来る。あ、そうだ」
一之瀬お前何考えてる私を置いていく気か。お前そんな薄情者だったのか馬鹿野郎何が「おれだよ☆」だよ。お前覚えてろよ。このやろ…
「前ちょっとだけ会っただろ。名前だよ。マークのプレーが好きなんだってさ」
「そうなのか?」
おしdんhふwこいbrhkせvjrhbwんぉ;あしおpr☆!?
うあああああああ、あのマークがこっち向いてる。目綺麗!あああああ、一之瀬お前なんてことしてくれるんだ、これなら置いていかれるだけの方がよっぽど良かったよ!お前、そしてこのタイミングで「じゃ!」とか言ってんじゃねぇよ!馬鹿なの?死ぬの?
とりあえず私はぶんぶんと首を縦に振った。これでもかというくらい縦に振った。じゃべれない!
「ありがとう」
そう言ってマークはふわりと笑うのだ。
私はこの時気持ちが高ぶりすぎて鼻血が出ても何もおかしくない、とさえ思った。
「良かったらそこのベンチで見てなよ。ずっと立ってると疲れるだろ?」
「あ、ありが、と」
じゃぁ、俺は練習に戻るなと言ってまた笑う。
もう心臓はばくばく言ってるし、頭の中ぐしゃぐしゃだし、もうどうにでもなれ。
とりあえず私はマークが勧めてくれたベンチに座った。戻ってきた一之瀬がやたら爽やかに笑っているのがむかついたけど、マークのかっこよさに免じて見なかったことにした。