ひとりで生きたいわけじゃない


レギュラスがいなくなった。

ホグワーツを卒業して多少連絡をとる機会は減ってしまったけれど、私はレギュラスが好きだったし彼も申し分のない愛情を私に注いでくれたのも確かだった。

だけど、彼はブラック家の次期当主であると同時に死喰い人だったわけで、当然一般市民というか、ただの魔女である私が彼の隣に立つことなど許されることはなく、レギュラス自身は口にこそしなかったけれど、婚約者も決まっていたそうだ。

だけど、仕方がないことだ、と理解していた。

仕方がない、と理解して納得できるくらい、レギュラスは私を愛してくれていたから。

だから、突然レギュラスと連絡が取れなくなってしまって、かといってブラック家に問い合わせる権利すら持たない私は、どうしようもない不安だけを抱えて時が過ぎるのを、そしてレギュラスがふらっと戻ってくることを待つしかできなかった。

だけど、だけどね。

なんとなくわかっていたのだ。

レギュラスは、なんとなく、ふらっと、そんな風に行動をする人ではない。

もうレギュラスがいなくなって、随分立つ。季節は何度巡っただろうか。
分かってる。分かってるのに、いつか姿を現して「すみませんでした」と丁寧に謝ってくれるんじゃないかって。