きっと神様も見捨てる


ぎらぎらぎらぎら


本当はそんなに暑くもないけど、急に暑くなるから体感温度的に言えばこの擬態語はひどく的を射ている。昨日までばっちり黒タイツ履いてたのが嘘みたいだ。迷ったあげく薄着にしたのは正解みたいだ。あぁ、それにしても太陽よ。いきなり働きすぎじゃぁないかい?冬の間まともに顔をださず挙句の果てに春になっても活動ボイコットしといていきなりこれですか。精が出ますね。


「リドルー」

「………」

「知ってる?」

「何を」


カランとアイスティーのグラスに入った氷がなる。濃いめに作りすぎてしまったから、氷が解けてそろそろちょうどいいかもしれない。

リドルはちらりと一瞥くれてまた本へと視線を移す。話を聞く気らしい。珍しいな。

「太陽ってね、」



「50億年後くらいに」



「爆発するらしいよ」



一口飲んだアイスティーはやっぱり絶妙になっていて、これ以上氷が溶けないうちにアイスティーを飲み干した。きっとリドルにいれてあげたアイスティーは半分以上飲まれることなく水割りになって終わるだろう。


パタン、


「……で?」


本を閉じて、別の本を取るために立ち上がる。それから、たった今の私の考えを読み取るようにリドルはアイスティーを飲み干した。


「いや、ただなんとなくね」


「…………」


「太陽が爆発なんてしたら地球も冥王星も銀河系も全部吹っ飛んじゃうかなぁって」

友達から聞いた話だ。初めて聞いてびっくりしたからリドルに言ってみた。それだけ。天文学に関心はないとか言って一蹴されるかも。でも私自身50億年って……そんなにスパンあって本当に計算合ってんのかよ、とか思ったりもするけど。




「50億年もあれば対策は容易に立てられるな」

「それってジョーク?」

「君の判断に任せる」

「じゃあ、まじだ」


私の返答を聞くとリドルは満足そうに目を細めた。こいつ50億年も生きる気なのか?私なら御免被る。


「人生はね、諸行無常のうちに友情努力勝利を目指すのが尊いのだと私は思うんだが、どうだねリドル君」

「僕はどちらかと言えば完全なる永久の美を愛する性でね。一時の輝きなんて時の流れが塵同然に変えるものさ」

「その儚さがいいんじゃありませんか」

「君とは意見が合いそうもないな」

「そりゃ良かった!」

「………………」



とにかくまぁ、50億年後にリドルが生きていようと死んでいようと、その前にとっくに死んでしまう私には関係ないことこの上ない。もしかしたら50億年後に人類はいないかもしれないけど、いたらこのどうしようもなく馬鹿げたことを考えている阿呆をよろしく頼むよ人間。