お手をどうぞレディ
やっぱり無理にでも断れば良かった。友人に出るだけ出ろといわれ仕方なく来たはいいものの、することもなくくるくる回る生徒たちをただ眺めるだけ。パーティも始まってからだいぶ経ちそれぞれ好きなように過ごしている。友人はとうの昔にパートナーとどこかへ行ってしまった。最初から来るつもりのなかった私にはパートナーかいない。最初の形だけのダンスこそ適当に踊ったけどさっさとお互い別れた。せっかく形だけでも参加したんだから食べるものだけ食べて行こうと過ごして今に至る。そろそろ部屋に戻ろうか。お腹もいっぱいになってきたし。
「貴女は踊らないんですか?」
「?」
え、いつの間に隣に人いたんだろう。パッと横を見れば、あぁ、彼は確か…
「レギュラス…ブラック…?」
「どうも」
誰かと思えばあのレギュラス・ブラックじゃないか。あれだ、あのシリウス・ブラックの弟だ。うん、こうして見てもイケメンだな。あの兄貴と違って聡明そうだし。あ、でも兄貴の方も頭はいいんだっけか。そんなことはどうでもいいか。
「なんでここに?」
そう言ったら、一休みくらいさせてもらいたいですね、と皮肉っぽく返された。なんだそういうやつかレギュラス・ブラックって。
「だって、あれでしょ、綺麗なお姉様方が放っておかないんじゃないの?」
「飽きてすぐにどこかに行ってしまいましたよ」
そう言うわりにはせいせいしたって感じの顔をしているけど気のせいだろうか。
「それで?」
「?」
「踊らないんですか?」
「あぁ…、私別にパーティに参加しようと思って来たんじゃ」
「せっかく正装したんだし1曲どうですか?」
「は?」
何を言ったんだろうか。ぽかんとしていたらレギュラス・ブラックがまた口を開く。
「あれだけ食べたんですから少しくらい消化しておいた方がいいでしょう?」
「お前…」
今まで関わったことはなかったがこんなやつだったのか、レギュラス・ブラック。イメージと違うけど別に嫌いな性格じゃないな。
「私、ほとんど踊れないんですけど」
「リードしますよ」
にこりと笑って手を差し伸べる様だけはひどく紳士的に見えた。
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炎杯見ながらカッとなってやった。今は反省している←