紳士的な彼女
結構な量を買出しに行くから、と公正なじゃんけんの結果俺と赤司っちが荷物係として苗字っちについていくことになったッス!バスケできないのは嫌だけど、この面子でいるってこともなかなかないからちょっと楽しみにしてたり。あ、ちなみに苗字っちはマネージャーで、さらには赤司っちの彼女さんなんスよ!
ってことで気のきく俺は、2人の後ろにくっついて行く形で用を足す店を転々としていったわけなんスけど………
「なんかおかしくないスか?」
ちなみに今は、買い物を終えて喉がかわいたという苗字っちの申し出でとある喫茶店に入って飲み物が出るのを待ってるんス。
「何が?」
きょとん、と眼の前の苗字っちは首を傾げる。その隣の赤司っちは視線だけ俺に向けた。
「あの、赤司っち、怒らないッスか?」
「俺が怒るような内容ってことなんだな」
「あ、いや、その…わかんないッスけど、気に障るかも、って」
「へぇ、興味あるな。言ってみろ」
にこり、と笑う赤司っちがすごく怖い。あぁ、どうしよう明日のメニュー5倍とかかも。
「あの、なんか苗字っちが赤司っちをエスコートしてるように、見えたんスよ…」
「「は?」」
「えっと、例えばッスよ!歩いてるときも車道歩くのは決まって苗字っちだし、押し戸も苗字っちが開けて次の赤司っちのために開けてあげてたし、さっきだって当然のように赤司っちをソファに座らせようとしてたじゃないスか。俺いなかったらいつも苗字っちが椅子なんじゃないスか?」
「あー…」
赤司っちは黙って聞いていただけど、苗字っちには視線を逸らされた。って、ことはどうやら心当たりがあるようで。
「赤司ってこうじゃん?だから、なんか大事にしてあげたくなっちゃうんだよね」
「おい、名前、お前いつもそんなことしてたのか」
「ほら、全く気付いてないあたりがいいんだよ!大事にしたくなっちゃう!」
苗字っちまじ紳士……。