秒針の音


「赤司―」

「……」

「あーかーしー」

「……」

もうずっとこれだ。私は薄っぺらいけども本一冊読み終わってしまったよ。家に来いっていうから来たのにフリーダムすぎんだろ。帰って部屋の掃除したい。私の部屋ごみの巣屈になってる。

こうなることもよくあることなので本を持ってきたわけど読み終わってしまったし、かと言って赤司の本棚のものたちは私の趣向にはあわない。この部屋で私のできる暇つぶしなんて昼寝くらいだ。と、言っても眠くなかったりする。つら。

もぞもぞとのっそり動いて後ろから赤司に抱きついてみた。

「……」

無視かよ。くそ!

「せーじゅーろーくーん」

「……」

ちゅ、とその首筋にちゅーしてみた、瞬間、赤司がびくっとようやく反応した。(かわいい)

「……名前」

「勝った」

「何に」

「いや、なんとなくそんな気持ちになった」

どさり、

「痛い」

「ごめん」

ぐい、と体のごと振り返った赤司はそのまま私の腕を引いて押し倒してきた。床が痛い。

「どうしたの?」

「『なんとなくそんな気持ちになった』、かな」

「発情期?」

「ひどくするよ」

「きゃー鬼畜ー」


ふざけていたら口を塞がれた。