「私は赤司とは対等でいたいと思うよ」

なぜか胸に、ストンと落ちた。

あれからみょうじの呼び出しは少しずつ引いて行ったようだ。僕もどうせ少し経てば引くだろうとは思ったが、だいぶそのことが広まっていたようだし、何より本人が辛いのではないかと思ったのだが。

対等でいたい、そう言われたのが正直とても嬉しかった。僕自身は壁を作っているつもりはない。だけど、それは周りは違っていて、気が付けば羨望、尊敬、崇拝、畏怖にも似た眼差しを向けられる。特に中学3年のときにそれはよく感じた。年上の先輩がいなくなったのもあり、3年在籍してるせいで教師、後輩にもそのレッテルが強く貼られているようだった。だからこそ、みょうじに、ただの女子生徒にすぎない彼女に、そう言われたのが嬉しかったのだと思う。あまり、友人関係は広くはないから。


「みょうじ、今度うちの試合見に来るか?」

「え、なんの?」

「バスケに決まってるだろ馬鹿」

「馬鹿とかいうなトマト頭め。バスケねー、でも私あんまルールとか分かんないんだよねー」

「なら今度僕が教えてやる。チームメイトに紹介したいんだ」

「何それ、彼女紹介するんじゃあるまいし…!うける!」

「僕だって別にお前を紹介する必要なんてないと思うが、会いたがってる奴がいるから」

「え、どういうこと。バスケ部の人たちに私のこと話してるの?」

「馬鹿な奴と一緒にいるって言ってる」

「うぜー!」






(征ちゃん、いつも女の子と一緒にいない?)
(あぁ、クラスではいつもあいつと一緒だな)
(え!もしかして彼女…)
(友人だ)

|