日がだいぶ傾いてきた。まだ夕日というには早いけど、シャツを取りに戻って家に着くころには暗くなっているかもしれない。思わず溜息をつきそうになった。
『キャプテン、溜息なんかつくと幸せ逃げるんですよー!』
なまえに言われたことを思い出してまた溜息をつきそうになった。
ようやくグラウンドに戻ってくると、部屋の電気が付きっぱなしだった。消し忘れか…?それとも誰かいるのか…? 人のいないグラウンドは静かだ。ガチャリ、とドアノブをひねる音がやけに大きく聞こえる。 「あ…」
「びっ…くりした…キャプテンかぁ…」
中にいたのはなまえだった。急に誰か来るんでびっくりしちゃいました、と苦笑する。
「何してるんだ?」
「今日の試合の様子をまとめて、あと予選が終わるまでのスケジュールの整理とか…でも途中で寝ちゃってました」
相変わらず苦笑したまますみません、と一言。やっぱり、俺が前に言ったことまだ気にしてるみたいだ。
「いつもこんな時間まで?」
「そう、ですね。試合終わってからドリンクボトルとか使ったものの整理してから記録するんですけど、今日はちょっと寝てたせいで遅れ気味です…」
ユニコーンのマネージャーはなまえ1人だ。何回は他にもマネージャーを頼んだこともあったがミーハーな子が多かったせいか、予想外の仕事の多さにあっという間にやめていってしまった。(日焼けが嫌、とか言ってやめる人もいたって言ってたな…)事務作業だけじゃなくて洗濯とか力作業も多いのになまえは、頑張ってくれてるんだ、俺たちのために。
「キャプテンこそどうしたんですか?早く帰って休まないと疲れが溜まりますよ?」
「大丈夫だ。ちょっと忘れ物してな」
「それは災難でしたねぇ」
なまえはまたスケジュールの整理に戻ったのか机に向かい始めた。 俺は部屋を出た。
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