ユニコーンのFFI決勝への進出が今決まった。
歓声が響く。うるさいくらいの音のはずなのになぜだか私の耳はフィルターを通したように遠くに聞こえた。目の前でガッツポーズをして喜ぶ選手たちが、かっこよくて、誇らしくて。あんまり嬉しくてぼんやりしていたのかもしれない。選手たちの姿を見つめていたはずなのに、気が付くと私の周りにはキャプテン、ディラン、それに一之瀬と土門…皆がいた。
「なまえ、俺たち勝ったぞ!」
一之瀬に頭をわしゃわしゃと撫でられる。
「ミーのギンギンなシュートのおかげだね!」
ディランがぎゅっと抱きついてくる。
「何ぼけっとしてんだよ!」
土門が笑いかけてくれる。
「なまえの協力のおかげだ」
キャプテンが褒めてくれる。
あぁ、私もこのチームの一員なんだ。
それを実感した瞬間、フィルターがはがれたように歓声という歓声が耳に響いた。思った通り、すごくうるさい。
「ディラン、汗でべとべとする」
「Oh!? なまえ!第一声がそれってどうなの!?」
その一言に笑いはじめたら、嬉しくて嬉しくて笑いが止まらなくなった。
閉会式も済ませ、今は控室の中。選手たちも着替えをすませて今は監督が戻ってくるのを待っている。がやがやと落ち着きのない控室。もともとうるさい連中だ。決勝進出が決まったんだからまだうるさいだけで済んでいていい方かもしれない。(控室だってこと忘れてパーティ始め出してもおかしくない)
皆を眺めながらそんなことを考えてると、こつんと頭に何かあたった。
「やけに大人しいな、なまえ」
「土門…」
土門の手にはスポーツドリンクのペットボトル。どおりでやけに冷たいと思った。
「さっきまであんなに元気だったじゃねぇか。どうし…ってなまえ!?」
「あー!アスカがなまえ泣かしてるよー!!」
「はぁ!?俺は何も…」
「キャップテーン、いじめです!土門がなまえいじめてます!」
「一之瀬、お前…!」
わあわあと騒ぐ中、私の涙は止まらない。なんでだろ、さっきは涙のこれっぽっちも出なかったのに。
「ごめ…なさ…すごい、嬉しくて…」
ぽんぽん、と宥めるように軽く頭を叩かれる。土門じゃ、ない。
「なまえは大袈裟だな。俺たちはFFIで優勝するんだぞ」
「キャプテン…」
「That’s right!こんなことで泣いてたら、優勝したときなまえは目がウサギみたいになってるね!」
「あはは、それは困るなぁ」
なまえが泣きやんでからも相変わらず控室はがやがやとうるさかった。さっきまで泣いてたかと思えば#name1#も騒ぎに交じっている。 きっと、あいつはこの後も試合の記録をまとめてFFIの準備を進めてくれるんだろう。そんなことしているなんてユニコーンの皆は気づいていない。皆が帰った後だとか、あまりにもなまえが影で仕事をしてるせいなんだが。それでもいいけどな。俺が知っていれば。
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