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「レギュラスっていつもいい匂いするね」

「名前、この香水好きなのか」

「香水!?」

「え、うん」

いつからか、とか意識したことはなかったけどレギュラスの傍にいるとたしかにいい匂いがした。が、香水だとわかるようなキツさがなくてせいぜいシャンプーとか柔軟剤とかそういうものがお高いからいい匂いがすると思ってた。自分の発想が男子すぎる。

「あぁ、父がほんの少しだけ使って放置してあるのがたくさんあるから、気に入ったのは使ってるんだ」

「まじ?かっけー」

「こういうのって女性の方が詳しいもんじゃないか?」

「え?なに?遠回しにディスってんの?」

「まさか」

わざとらしく肩を竦めるあたり、からかってんのか本気なのかいまいち掴みづらい。

「うーん、次の休暇で名前が好きそうなやつ持ってきてもいいけど、なかなか君が好きそうなやつ、ないだろうなぁ」

「そうなの?」

「母が使い残してるのは甘ったるいようなのしかないから。あ、男性ものでも甘めのすっきりしたやつとかたしかあったしそういうのにする?」

「えっ、ほんとに?いいの?」

香水をつける、なんてなんだか大人になったみたいでドキドキする。でもブラックのお家で眠ってるよりは、使った方がいい気がする。決して私が香水を買うお金をけちってるのではない。何事も試しに使ってみないと自分の好みすら分からないんだから、お試しとしてはちょうどいい!そういうことなんだ!

そしてレギュラスの宣言通り、名前が気に入るセンスのいい香りの香水を持って帰ってきた。が、

「そういえばこれいくらくらいするんだろ」

気軽に値段を調べて見ると、

「げぇっっ」

思わず香水瓶を落としそうになるほど高いもので、真剣にレギュラスに返そうと思った。


「いや、返されても困るし。なくなるまでちゃんと使って。その香りしない日は指摘してやるからな」

こうして、名前は淑女の嗜み?をひとつ身につけたのでした。ちなみに友達からもかなり評判よかった。