05


「レギュラスいる?」

「なに?」

「紅茶なくなった」

「早くないか?俺のストックもそんなにないかも」

「えぇ〜、お母様に手紙書いてよ。あ!私、フォートナム&メイソンの期間限定のやつがいい」

「だから、うちはマグルのは買わないってば…」

とりあえずストックを確認するためにも、レギュラスがきちんと整理している棚を漁る。たしか普段使い用のキャニスターとは別にストック用のが、下から2番目の棚にあった気がする。

レギュラスがいいとこのボンボンなのは周知の事実なわけで、まぁ、彼の持ち物各種の品揃えのいいこと。使っている文房具から、私服まで、お高いものばかりである。そして、入学して以来そこそこ仲良くしている私は彼の紅茶にありつく機会もまぁ多かった。そしてもはやいつだったか忘れたけれど、あまりにも紅茶をせがみに行ったものだから、もう持っていっていいとお許し(?)をもらったのだ。まぁ、なんというか、粘り勝ちだ。

「あった!まだ大丈夫そうだよ!でもお母様に手紙は出しといてね」

持ってきた缶にレギュラスの紅茶を詰め込んでいく。今回のはかわった香りがする。キャニスターにはオリジナルブランドとだけ書かれていてどこのものかはわからない。飲むのが楽しみだ。

「名前、これも」

「ん?」

ぺいっと投げてよこされたのは小綺麗な小さな包み。これは、

「あっなんかこれお高いとこのブランドのやつじゃないですか!」

「中身は紅茶じゃなくてクッキーだけど」

「最っっっ高」

レギュラスいわく、そんなにたくさん食べないのによく家から送られてくるからいらないんだと。最高だな、お坊ちゃまは。こういうおこぼれを頂戴する度に、レギュラスと初めて話した魔法薬学の授業を思い出し、アンラッキーだと思ったその日に感謝するのだった。そしてめちゃくちゃ卑しい自分に少し悲しくなるのだった。