夏風邪は馬鹿がひく

「あー…、うー…」

「なんだ気持悪い声出して」

「セブルスひどい。心配してよ。具合悪いんだから」

「まぁ、夏も近いしな。風邪ひいてもおかしくない」

「それ遠まわしに私が馬鹿だといいたいんだよね?」

悪態をつきながらもぞわぞわと寒気が背中を襲う。認めたくないけど風邪をひいたみたいだ。昨日シャワーの後、ちゃんと髪の毛乾かさなかったからだ…(ずーん)
でもでも寒気くらいでへばっているわけにはいかないのよ!今日ももちろんレギュラスはクディッチに出るんだから!かっこいいレギュラスを見逃すなんて耐えられない!そういうわけで体に鞭を打って行動しています。

「あ、レギュラス!」

セブルスにぐちぐち言っているとレギュラスが寮から出てくる。試合前だからかなんとなく引き締まった雰囲気でそんなレギュラスも素敵!

「今日も頑張ってね!」

「……先輩、なんか顔赤いですよ」

「ん?別になんとも…」

「夏風邪だ」

「セブルス!余計なことを!」

「馬鹿は夏に風邪ひくって本当なんですね」

「レギュラス、オブラート忘れてるよ!」

「仕様です」
「えぇっ!?」

それからすぐにレギュラスはキャプテンに呼ばれて会場に向かってしまった。選手はアップとかあるから試合開始時間よりずっと早く会場に行く。流石に時間があるので私はしょうがなくセブルスと時間を潰すことにした。(クディッチはセブルスと行くことにしてます。そうしないとセブルス寮に引き籠ってるから)










「今日はよく晴れたねー」

「暑い」

「セブルスも少しは外に出ないと。夏に真っ白な男とかキモイよ」

「死ね」

「ひどい!」

ぞろぞろと人の波に揉まれながら会場へ向かう。夏が近いだけあって日差しは強い。…あれ、なんか足元ふらつく?いやいやいや、暑いから立ちくらみしたんだきっと。夏ってそうだし。うん、早くレギュラスに会いたいなー。

しばらくしてからホイッスルが響き試合が始まる。目で追うのはもちろんレギュラス。正直他のことはどうでもいいし!ひたすらじーっと見てると一瞬目が合う。たまたま?視線が合っただけかな?でも目が合った瞬間レギュラスが眉を顰めたような気がするんだけど。レギュラスばかり目で追っていたせいでスリザリンに得点が入ったことに気がつかなかった。歓声に合わせて慌てて立ち上がる。


あ、れ………?


視界が歪んで、足元の感覚がなくて、


それっきり私は意識を手放した。


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Love like a shadow flies when substance love pursues,
Pursuing that that flies, and flying what pursues.
(The Merry Wives of Windsor / William Shakespeare)