「あーん」
「…………」
「あーん!」
「…………」
「あーん!!」
「………なんですか」
いつまで無視しても、負けじとフォークにさしたケーキを口元に近づけてくるなまえ先輩。徐々にフォークと口の距離が縮まっていることもあり、このままでは無理矢理口に押し込まれてもおかしくない。そう判断した僕は仕方なく返事を返したら予想通りの言葉が返ってきた。
「ケーキ食べる?」
「そこ置いておいて下さい」
「やだ」
「じゃあいりません」
「なんで!?」
「なんでって…(めんどくせぇ)」
さも僕がおかしいと言いたげな表情を浮かべる先輩。意味が分からない。
「あーんしたいんだけど私」
「知りませんよそんなの」
「あーんしたいんだけど私」
「(2回言った…)ルシウス先輩にでもしてあげたらどうですか」
「え、なにそれキモい」
適当に名前を挙げてみただけなのだがなまえ先輩はこれでもかというくらい顔をしかめた。正直、自惚れとかではなく僕以外に対してなまえ先輩は容赦ない。と思う。
「…………じゃあセブル、「断る」
今の今まで僕が困っているのを無視して空気化していたセブルス先輩。空気だったから名前くらい出しても平気だろうと思っていたのにしっかり拒絶の意を示してきた。
「…………僕だって嫌なんですよ?」
「だからといって僕を巻き込むな」
「でも話ふったりしない限りセブルス先輩、恐らくこの話に登場しませんよ?全体を通して」
「こんな変態に絡まれるなら出なくていい」
さすがに少し泣きたくなりました。(僕は毎日のように絡まれてるんですけど)
「ほら、レギュ!あー……ってむごぉっ!?」
「うるさいですよ。そんなにしたいなら自分でやれ」
「あぶ、あぶな!フォークなんだよフォーク!」
「……大丈夫ですよ 先輩なら」
「何を根拠に!」
「(もうめんどくせぇなまじで)愛情の裏返しです」←すごく棒読み
「!」
セブルス先輩が、お前言ってしまったな、みたいな顔をしてこちらを見つめていた。……面倒くさくて適当に返したら言葉はどうやら状況を悪化させたらしい。
「やっぱりそうだったのレギュ!そうだと思ってたんだよ私も。もう照れ屋さんなんだから!」
「冗談です。忘れて下さい」
「またまたぁ!」
(じゃあ一口だけですよ)
(やった!はい、あーん)
(ぱく、もぐもぐ)
(………ルシウス先輩!)
(完璧だ)
(!?……ゲホっ…な、ルシウス先輩何して…)
(いや、気にしないでくれレギュラス。ただの撮影係だから)
(先輩、最近僕死の呪いの練習してるんですけど)(あぁっ!これからスラグホーン先生の所へ行かねば!じゃっ☆)
(まじでぶっ殺してぇ)