胸キュンどころの話じゃない
「んあー…」

ザーッと袋のすみに残ったポテチを口の中に投入。あぁ、全く。最近の不景気のせいで昔は皆で食べるものだったのに今や一人前だよ。内容量の減り方はんぱないよ全く。

「なまえ先輩、女性がそういう食べ方をするのは下品ですよ」

「えー、でも最後まで食べれないじゃん」

「梟の餌にでもしたらどうですか」

「メタボ梟への道……」

「………」


呆れた顔をしてレギュラスは箒を磨き始めた。昨日の雨はすごかったもんね。1つ1つ丁寧に泥を落としていく。箒、場所代われ!


「レギュラス、でも君は夢を見すぎだよ」

「は?」


最近レギュラスが馬鹿にしたように「は?」って言う回数が増えた気がする……。


「だからね、例え普段上品に振る舞ってても見えないところじゃ皆私と同じようなもんだよ!」

「……」

「例えばセブルスだってきっと家帰ればジャージ着て柿ピーでも食べながら、なんでレギュラスあんなにかっこいいくせに頭も良くてちゃっかりシーカーとかやってて、家は名家なんだむきーっ!ちょー嫉妬!とか思ってるんだよ」

「……セブルス先輩に恨みでもあるんですか?しかも途中から明らかに趣旨を外れた例になっています」

「えぇ…じゃルシウス先輩にする?ルシウス先輩が家帰ったら実はちょーマザコンでままぁ、僕寂しくて死にそうだったよぉ、とか言ったら……レギュラス?」


話しながらちら、とレギュラスを窺えば忙しなく動いていた手は止まっていてなんでか俯いている。

ひょい、と顔を覗きこめば普段は絶対に拝めないであろうレギュラスがいた。

「……ふっ、ちょ、先輩…そんな失礼なこと……」


とか言いながら物凄く笑いを堪えているレギュラス。萌えっ!←

どうやらツボにハマったようで大爆笑こそしないもののお腹をおさえて苦しそうにしている。やばいすごく可愛い!だってあの普段無表情のレギュラスがこんなに笑ってるなんて!ちょーレア!レア中のレア!やばい興奮してきた、いやもうしてるけど。とにかくマザコンルシウス先輩グッジョブ!


「なまえ、先日君がグリフィンドール寮に侵入したと「っ……!」……レギュラスはどうしたんだ?」


タイミング良すぎだよマザコン。(←あれ)


レギュラスはルシウス先輩の顔を見た途端耐えきれなかったらしく吹き出してさっきなんかよりも笑いが漏れている。まぁ、ルシウス先輩からしたら本当にどうしたんだ?って感じだろう。正直そんなことどうでもいいけどね!


「あぁ、ちょうど先輩がマザコ…「なまえ先輩!」


未だに笑いを堪えつつでも不快そうな、なんとも微妙な顔をしたレギュラスに残念ながら静止をくらう。もちろんレギュラスが大好きなので私は大人しく話題を変えた。

「先輩、お母さんは元気ですか?」

「?……あぁ、元気だが、「……ふ、……っ、」「おい、レギュラス?」


すいません、と言うものの笑っていてうまく言えていない。いや、うんあの話題提示はもちろんわざとだけどさ!


その後もまともにレギュラスとコミュニケーション出来ないためにルシウス先輩は寮へと戻った。それでもレギュラスは笑い続けて、ようやくおさまった頃にはだいぶげんなりしていた。そしてなんでかげんこつされた!


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Love like a shadow flies when substance love pursues,
Pursuing that that flies, and flying what pursues.
(The Merry Wives of Windsor / William Shakespeare)