「はろーっ、レギュラス!ちょーかっこよかったよ!さすが私の旦……いたっ!」
なんか来た。
咄嗟のことに僕は手元にあった缶を投げつけた。
「痛いよレギュラス!せっかくお疲れ様言いに来たのに」
「いや、貴女が来ると余計疲れますから。つかどこから来た」
「え、そこ」
あぁ、確かに。
どこからも何も僕だってちゃんと見ていた。なまえ先輩がトイレから飛び出してくるのを。
「もぅ、控え室入ろうとしたら人がいっぱいいてさ。しょうがないからあそこから……ってあぶな!」
「チッ」
2本目の缶は避けられた。この人なかなか運動神経いいからな…。
「おい、なまえ。控え室は選手以外立ち入り禁止だぞ」
「はい、分かってます。もう出ていきますから」
にこりと笑って受け答えする先輩。こうしてれば普通なのにどうして普段があれなんだ。今声をかけたキャプテンもトイレからの登場という滅茶苦茶なことをするなまえ先輩に怯んだようで、そうかとだけ言って自分の支度へと移った。
「ほら、他の選手にも迷惑なんですから早く出ていって下さい」
「いやぁ、ほんと水も滴るいい男だねレギュ!試合終わった直後とか息とか上がるよね。そりゃそうだよね」
なんだか1人で勝手に話し始めた。キャプテンに笑いかけたようにしてればいいのにまたすぐにいつものにやにやした顔。あ、いつもよりも気持ち悪いかもしれない。
「はっ、レギュラス!早く着替えなよ!風邪ひくよ」
「なんで片言なんですか」
「え、片言になってた?」
「はい」
「きき気のせいだよっ!別にレギュラスの着替え見たいとかそういうんじゃなくて……ぎゃぁぁっ!」
練習用のクァッフルを投げつけた。