狡猾さって大事
外はザーッと、まるでバケツをひっくり返したみたいに勢いよく雨が降りしきっている。普通こんな日は外に出ないでレギュラスとイチャイチャするのに限るんだけどクディッチがあるとなると話は別!頭からローブを被って一応防水をしてみるけどあんまし効果がないのは皆知ってる。どれだけ濡れようともやっぱり選手を応援したいしね!まぁ、私はレギュラスがいなかったら寮でゴロゴロしてたけど。

おかげで試合終了のホイッスルが鳴る頃には選手は勿論観衆も皆湖に落ちたみたいにびしょ濡れだった。そう、びしょ濡れだった。


「やっば、濡れてるレギュラスやばい。すごい色気。どうしょう。死にそう」

「僕の横で気持ちの悪いことを呟かないでくれないか」

選手が観客席まで飛んできて軽くパフォーマンスをして下がっていく。普段のレギュラスなら自分から前に行くなんて絶対にしないけど最後の花を飾るシーカーが何もしないで控え室に引っ込むわけには行かないのでいつも決まって金色に輝くスニッチを高く掲げて少しだけ微笑む。(ちなみに私は試合もそうだけどこれが楽しみでクディッチを見ています)

もちろん今日も例外ではなく雨のために淀んだ空の中でレギュラスの握るスニッチが輝いていた。

「セブセブ、私控え室行かなきゃ!」

「はぁ?控え室は選手以外立ち入り禁止のはずだ。それからなんだその呼び方は」

「だってあれやばいよ!寮帰ってきたらすっかり乾いちゃってるじゃん!レギュラスのことだから今まで図書館行ってましたくらいの顔して帰ってくるよ!」


興奮のあまり気付けば私はセブルスのローブを握りしめていた。(※首元)


「く、苦し…」

「もうっ!セブセブの分からず屋!根暗!」


セブルスの意見を聞いてもどうせだめだやめろ馬鹿か、しか返ってこないだろうからぺい、とそこら辺に捨てて私は選手控え室へと急いだ。









「って、げぇぇっ!なにこれ!」

跳ね返る泥もかえりみず急いで走って来てみれば控え室の前には溢れんばかりの人、人、人!これじゃレギュラスどころか控え室にも入れないっ!


………ん、待てよ。
いいこと思い付いた!私ってば天才!


私は控え室の前でざわめく人々を尻目にその場を後にした。


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Love like a shadow flies when substance love pursues,
Pursuing that that flies, and flying what pursues.
(The Merry Wives of Windsor / William Shakespeare)