混乱、しました

「あなたは、どうしてこうも学習しないんでしょうねぇ……普通の脳の造りをしてないんでしょうか、かわいそうに」


おかしいおかしいおかしい。変に同情しているような優しい口調と言動がミスマッチ過ぎる。両腕を頭上で抑え込まれて、壁に追い込まれている。これが噂の壁ドン!ってちょっと違うか。とか言ってる場合ではない。


「ごごごごごめんなさい、失言でした!レギュラスはいつでもかっこいいです!」


慌てて弁解するも、レギュラスはただため息をつくだけ。普段なら直ぐ様深呼吸でもして、レギュラスが吐いた空気吸ってる!うまい!とか言えるけど状況が状況だけにレギュラスの言葉を待つしかない。

「確かに入学した頃はあなたより身長も低かったし、中性的だったことは認めます。でも、今はこうしてあなたを見下ろすことができる」

確かに。身長伸びたなぁ、とは思っていたけど改めて言われるとしみじみと実感せざるを得ない。視線を合わせるのにレギュラスは少し屈んでいるわけだけど、それでも私はレギュを見上げている。ふむ、でかい。あ、てゆうかなんか腕が、

「いつまでもかわいい後輩だなんて思わないでくださいね」

そう言って口角を上げるレギュラスの放つ色気がやばい死ぬ、と思いつつも掴まれている手首が尋常じゃないレベルで締め付けられているので、「痛い痛い痛い!」とこうぎの声を上げるしかなかった。

「あぁ、すいません。つい」


ぱっと手が離されて思わず腰が抜ける。ぺたりと絨毯に座り込んでレギュラスを見上げたんだけども、なんだろう、いつになく機嫌の良さそうなレギュは時計を確認したあと、「あぁ、もう夕食の時間を過ぎてます。行きましょう」と、爽やかに言うのであった。


なんだろう、誘われたんだよ?いつもなら無言で放置されてもおかしくないのに、でもなんだか、うむ、解せぬ!!!


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Love like a shadow flies when substance love pursues,
Pursuing that that flies, and flying what pursues.
(The Merry Wives of Windsor / William Shakespeare)