メイド服を着ろと言ったら一瞬にして手にしていたメイド服を燃やされてしまいましたぐすん。結構高かったのに…!メイド服は諦めるとして(服がないし)、しょうがないからロングヘアーのカツラだかでも被せてみようと本を読むレギュラスに後ろからじわじわ近づいてるなうです!襟足とか首筋とか妙に色気を出してて思わずはぁはぁするのを必死に我慢しております。どうやら相当集中してるようで全く気づかない。よし、いける!
「うわっ……!」
がばりと被せたカツラは期待以上にすんなりとレギュラスの頭にフィットしてくれた。もちろん取り乱したレギュラスは慌てて後ろを振り替えるわけだが……
「なまえ先輩……またあなたは何を、」
と言いかけて視界に髪の毛が目に入ったのだろう、一瞬動きを止める。
というか、そんなことはいたってどうでも、いいのだ。
「かわ、めっちゃかわいい……」
いやいやいやいや、女装似合うだろうなぁ、とは思っていたけど予想外だよ。予想外の完成度の高さだよ!だってカツラ被せただけだよ!?やばい、普通に襲われるレベル。かわいい!これでメイド服とか来てご奉仕とか言い出したらもうえっちぃ妄想しか出てこな
ベシンッ
「ぶへっ」
「黙れ変態」
「な、なんのこ…」
「全部、口に出てますよ!」
「Oh…」
ちなみにカツラを顔面めがけて投げつけられました。腰くらいまでいく長さのカツラだったのでなかなか重量感がありますげふん。てゆうか今更だけどカツラとか言うよりウィッグっていうんですか?最近は。
「で、何が目的なんですか?」
「へ?」
「また何かのゲームか何かじゃないんですか?」
「違うよ。ただレギュラスが女装したらかわいいかなって思って」
そう、つまり私の目に狂いはなかったのだ。まじ、私みたいなのが性別女とか言っててすいませんでした、と言いたくなるレベルの高さだよ。メイドもおいしいけどそれなりの格好させて化粧もすれば、「ブラック家のご令嬢です」って言っても通用すると思う。
そんなことを至極真面目に考えていたものだから私としたことがレギュラスから一瞬意識が逸れてしまっていた(考えてたのはレギュのことなんだけどね!)
ブチブチブチィッッ
不穏な音と共に目の前で舞う黒い糸状のなにか。あれ、これはもしや、
「かわいいだなんて不愉快極まりないですねぇ、先輩?」
「え、あ、の……レギュラス、くん?」
「なんでしょう?」
「えっと、何から尋ねればいいやら。とりあえず君の手にあるのは、」
「僭越ながら、引きちぎらせていただきました」
「(おうふ、どんどん敬語が営業用に…)」
見事にズタボロになったカツ…、ウィッグがポイッと投げ捨てられる。それにしたってレギュラスがご乱心すぎる。いくらなんでもこんなあからさまにキレてますアピールするキャラじゃないでしょうに!
若干収拾がつかなくなってしまったこの場をどうしようかと散らばってしまった元ウィッグたちをオロオロ眺めているとレギュラスがこちらに歩み寄った。パッと顔をあげるとレギュラスの腕が上げられていて、思わず目を瞑る。
「なまえ先輩、」
ないとは思ったけど、殴られるかと錯覚した。レギュラスの手はぽんっと私の肩に置かれた。
「いつまでも、かわいい後輩でいると思わないで下さいよ」
そのまま寮を出ていってしまった。
とりあえず、箒を持ってこなければならない。
(おい,今度は何をしたんだ。何かの儀式か?)
(ちちちちがうよセブルス!これはレギュラスが、あ、でも元はと言えば私か……?)
(早く片付けろ!)