大変だ。私はなぜこんな大事なことに今まで気がつかなかったんだ。馬鹿だ。あ、今レギュが「そうですね」って言った気がする。授業が終わって暇になり次第、私はレギュラスのところへ行く。できるだけ一緒にいたいからね!でも、もちろん私だけ授業ある時間とか逆にレギュが授業ある時間があるわけで。そういう時、レギュラスはどうしてるんだろう。無愛想だけど他人を無視する、なんてことはないから当然普通に過ごすんだろうけどさ。……何が言いたいかってね、はっきり言ってしまうと、
「私の知らないところでレギュラスは女の子といちゃこらしてるかもしれない」
「…………」
レギュは紳士だからね!無自覚で優しく接したりしてるかもしれない!この前だってすごい優しかったし。私にはそんな風にしてくれないけど。あれ、目から汗が…!
「ねぇ、セブルス
「何だ」
「私、レギュに嫌われてるのかなぁ…」
「……いきなりどうしたんだ」
最初こそスルーされたけどどうやら話を聞いてくれるらしい。なんだかんだ言ってセブルスは世話焼きだもんね。
「セブルスはさ、だいたい誰に対してもツンツンだけどさ」
「おい」
「レギュはさ、私だけじゃん。しかもたまにまじでうざいって感じの顔するし」
「確かにお前以外にあんな態度は取らないな」
「………セブルスは私を慰める気はないんだね!」
「話を聞いてやるだけ有り難く思え」
あー、やばい鬱入りそう。だって改めて冷静に振り返ってみると……あ、やばい今自分で鬱モード加速させた。
「セブルスお願い」
「……何だ」
「脱ぎたてのレギュラスのシャツ持ってきてくれたら私元気になれる気が…ぐぇっ」
「くだらんことを考える余裕があるようで良かった」
「喉とか…!急所!人間の急所ですよ!」
「知っている」
セブルス、酷すぎる!紅茶に埃でも入れてやろうと目論んでいたところで、寮の扉が開いた。
………あ、デジャヴュ。
「じゃあレギュラス、後でノート貸してもらってもいいかしら?」
「構いませんよ。今取ってきます」
「ありがとう」
ふわりと笑う美人。スリザリンには珍しいふんわりした雰囲気をもった女の子だ。
レギュラスは寮へ一直線に行ってしまった。
いや、うん、分かってる。いつもなら私がここで絡むんだ。レギュラスはいつだって用がなければさっさと寮に戻ろうとするもん。だけど今日は、ちょっと鬱すぎて、声かけられなかったなぁ……。
とりあえず、私はセブルスのティーカップに落ちてた埃を入れた。
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Love like a shadow flies when substance love pursues,
Pursuing that that flies, and flying what pursues.
(The Merry Wives of Windsor / William Shakespeare)