「おはようレギュラス!」
「……おはようございます」
朝食を取るために大広間へ向かった。毎朝適当に挨拶をされれば返し、食べるものだけ食べてすぐに出ていく。それなのに今日はなぜかそれが出来なかった。原因は言わずもがななまえ先輩だ。
「こっちこっち!」
バシンバシンとものすごい勢いで自身の隣の席を叩いている。もちろんなまえ先輩は周りが少し引いていることに気付いていない。正直あまり行きたくない。この人とはあまり関わりたくない。
「……」
それでもしっかり彼女の元へ行く僕は寛大だと思う。優しさの塊だと思う。
「で、なんですか。これは」
招かれた席にはしっかりと1人分盛り付けられた食べ物。ちらり、と横を見れば満足そうに笑うなまえ先輩。
「レギュラスの朝ごはん!ここ1ヶ月チェックしてレギュラスの為に朝ごはんを盛り付けて待ってました!」
「1ヶ月……」
「良妻でしょ!」
「人はそれをストーカーと呼ぶんですよ」
「愛故にだよ☆」
「うぜぇ」
隣のストーカーは放って置いて僕は朝食に手をつける。本当に1ヶ月観察していたんだろう。盛り付けられているのは比較的僕が好んで食べるものばかりだ。
「おいしい?」
「あなたが作ったんじゃないでしょう」
「いいじゃん。夫婦ごっこ」
「まだ寝惚けてるんですか。寝ながら食事が出来るなんて器用な人ですね」
「きゃっ、レギュラスに褒められちゃった」
「嫌味だ」
余りにも鬱陶しいので持っていたフォークを先輩の腕に突き刺した。ぎゃぁぁぁっと叫ぶ先輩は女らしさの欠片もない。
「うぅ、レギュラス……愛が痛いよ。DV反対」
「………」
「わぁぁっ、嘘嘘嘘っ!だからナイフに持ち変えないで!」