家族にご挨拶
その日、俺はグリフィンドール寮で珍しく穏やかな午後を過ごしていた。ジェームズは多分エヴァンズを追っかけまわしてるだろうし、ピーターは図書館に行くと言っていたか。それぞれのことは分からないが、今はリーマスとだらだら過ごしている。静まりかえっているとも煩すぎるとも言えず、寮に誰かが入ってくるのはすぐに分かった。

「お、ピーター。勉強はもういいのか?」

「うん、だいたい終わったから、戻ってきたんだ」

「…彼女は友達?」

「え!?」

彼女?リーマスの視線を辿れば確かにそこには見慣れない女子生徒がいた。

「スリザリンじゃねぇか!?」

そう、その女子生徒の胸にはしっかりと緑と銀のネクタイが締められている。なんでグリフィンドール寮に他の寮、しかもよりにもよってスリザリン!

「こんにちは!」

「こ、こんにちは」

「馬鹿、何普通に挨拶してんだピーター!」

「スリザリンのなまえです」

「僕はリーマス」

「リーマス!」

なんでこいつら2人普通に受け入れてんだよ!他寮には入っちゃいけないし、しかもスリザリンの奴なんだぞ!?目の前のこいつも当たり前のようにここにいるし。

「あなたがシリウス・ブラックですよね?」

「あ、あぁ…」

「今日はあなたと仲良くなろうと思ってきたの!」

………はぁ?

「将来のお義兄さんになる予定だから!」

どうしよう、こいつ電波か…?


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Love like a shadow flies when substance love pursues,
Pursuing that that flies, and flying what pursues.
(The Merry Wives of Windsor / William Shakespeare)