英国らしい天気ともいえる曇り空の広がる週末。レギュラスがセブルスに魔法薬学を教えてもらいたい、ということでスリザリン談話室では休日にも関わらず、2人は熱心に教科書とノートを広げていた。
その横には、こちらも熱心にある本に視線を注ぐ者が1人。
「…なまえ、部屋で読んだらどうだ」
「え、やだ。レギュラスと一緒にいたいもん」
なんとなく、可愛げのある科白のようにも聞こえるが、普段の素行、そして今なまえの持つものを見るとレギュラスは溜息を吐かずにはいられなかった。
「公共の場でそんなものを読まないで下さい」
なまえの読んでるものというのは、明らかにいかがわしい格好をしたやたら肌色の多い女の子が表紙に印刷されている漫画本であり、つまりエロ漫画である。本人は気にも留めていないようだが、ソファに仰向けになって読まれていたのではレギュラスはセブルスでなくても、嫌でも目についてしまう有様だった。
「大丈夫だよー、嫌なら見なきゃいいんだから」
「目に付くんだ阿呆」
「セブセブのえっちー」
「!」
すぐにセブルスがなまえの頭を殴ってやろうと拳を奮うも、なまえは仰向けという大勢だったにも関わらずひょい、と体を起してそれを避ける。
「つーかね、健全な男子だったらエロ本エロ漫画AVの1つや2つあるもんでしょ」
「あなたは女性です」
そうは言ったもののレギュラスは、あれ…健全か?と少し悩んでしまった。
「じゃあさ、レギュラスはこっちの調教系と触手のどっちが…」
「どっちも嫌です」
バシン、という音とともに無残にもなまえの手に握られていた漫画は床に叩きつけられる。あわわわ、と慌てて漫画を拾おうと立ち上がるなまえの口から出てくるのは頭が痛くなるようなものばかり。
「レギュ!物は大切にしないと!…でも私レギュラスならSMでも恥辱系でもなんでも…」
グシャ、
「気 持 ち 悪 い で す」
なまえが漫画を拾うより早く、いつの間にか近くにいたレギュラスはにっこり微笑んで容赦なく漫画を踏みつけていた。
「セブルス…。私、絶対レギュラスはSだと思うんだ。さっきの選択もどっちかって言ったら絶対調教だと思うんだ」
「………(否定できない)」