※小十郎の独り言とちょっと政宗
ギャグ。小十郎があほです‥!
政宗さまが、お逃げになられた…!
片倉小十郎はがくりと落胆する。肩を落として、膝をつく。ああ、最近滅法大人しくなったと思って、出入りを緩くしたのが間違いだった。
「あああどうすればよいのか…すぐあの方はいなくなられる…首に鈴をつけていただくべきか…とりあえず探さなければ!そう…きっと成実あたりが一緒………とならばよけい見つけるのは困難、目星を付けた方がいいかもしれませんね………そうです!成実と言えばいつも屋根の上で寝ているはず、ならば政宗さまと連れて合って屋根の上…?いや、少し落ち着きなさい小十郎!政宗さまはたしか高いところと暗いところと狭いところと大根の漬物がお嫌いであったはずでしょう……ならば川か?いやいや政宗さまは確か泳がれないから川はだめで、泉も同等。海なんて考えられないし、他の国…はっ、もしや佐竹さま?ああでもこんな短時間に政宗さまが成実と二人で他の国になど行けるわけがないですよ…まさか拉致!?いやいやいやいやそれは違うか…拉致なら動機がいるわけで…考える節は無………あ 、ありすぎた………!!…………いや!でも政宗さまは良いお方なのです、落ち着きなさい小十郎!他に考えるのですよ、政宗さまが心を許すような人間と言えば………鬼庭殿か……?ああけれど彼とは先ほど言葉を交わしたばかりですし…あれ?先ほどなら共に成実もいた気がする……?」
小十郎は廊下で一人、うろうろしながら頭を抱えていた。
「ならば政宗さまはどこへ?あれ?頭がこんがらがって…まさか、拉致されてどこかに監禁、そして拷問を受けて…死……?」
「おい、小十郎」
後ろから聞きなれた声がする。最悪のシナリオを考えていた小十郎は、政宗が霊になったのかもしれないと蒼白になった。
「ぐ、軍師たるもの、こうにも主のことが分からぬ上に、死に追いやるなど…片倉小十郎、一生の不覚!政宗さま、今お側に!この腹かっさばいて――」
「小十郎、ちょっと」
「………政宗さま…?」
「うん。小便してた。ごめんな」
「……………あ、はい」
ぽかん。
政宗は口を開けて立つ小十郎を不審な目で見ながら、自室へ戻って行った。
小十郎が我に返ったのは、その五分後の事である。
★
再録。
うちの伊達主従はこんなノリです。
心配性なオカン小十郎。