なだらかな恋のあいさつ
※利家×まつ
ラブラブというか‥甘いと言うか‥恥ずかしいです(‥)


大好きだ、とつぶやいた。
まるで直前練習みたいに、何度も何度も好きだと繰り返してみる。

手の平がひどく熱い。
頬もすごく熱い。
自分で頬に手を当てると、手の熱さに頬が、頬の熱さに手が火傷してしまうなんて思った。
じっとり汗ばんだ手を、きゅっと握る。

「まつ殿…」

息を飲んだ。深呼吸を繰り返す。
いつの間にか、握りしめた拳に落ちていた涙に、唇を寄せた。再び拳を離せば、涙は赤い。
唇は血の味がする。情けない。

けれど、大丈夫。
一言だけじゃないか。
大丈夫、大丈夫、大丈夫。

「まつ殿!」

大きな声で、小さな背中に声をかける。髪を揺らして、小さな背中が振り向いた。

「―――好きだ!ずっとずっと、ずっと前から大好きだった!!」

まつは目をぱちくりしてから口を開こうとする。そんな様子もやっぱりいとおしい。
けれど。

「ままま、待って!」
「はあ?」
「こ、たえは、またでいいから」
「え、どういう、」
「“ハイ”か“うん”で答えてくれるまで、待つ」
顔を真っ赤に赤らめて、大声をあげる男。
武勇とかぶきもので知られている彼が、こんなにうぶな顔をして私に声をかけている。
昔は私の事なんて、まるで男の子相手みたいに接していたというのに、どういう風の吹き回しだろうか?
思わずくすりと笑う。

「……かわい、」
「わああ!断るなら文を出して、」

まつは思わず吹き出すと、手をつき出して待ったをかける利家の方に歩みよる。
そしてその手を思い切りつかんでから、少し背伸びして、くちびるにくちびるをぶつけた。

「…血の味がする」
「……………?」

触れるだけでさよならとまつのくちびるが逃げて行く。利家は状況を理解できずに立ちすくんでいる。
まつは腕を組んでから声をあげた。

「お犬さま、あたしは強い男が好きだからね」
「あ、え、」
「ちゃんと強くなりなさいよ、お前さま!」
「…………!」

やっと状況を理解した利家の背中を思い切り叩くと、利家は満面の笑みを浮かべた。

「まつ殿、」
「呼び捨てがいいわ」
「まつ、大好きだ!」

まつは笑ってみせると、歩き始めた。

「まつ」
「なに?」
「手を繋ぎたい」
「………!」

夕焼けがあたたかくて、顔が赤くなってしまったじゃない、なんてまつは思った。



修正して再録。
利まつはラブラブが一番だ!



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