花言葉





幸村先輩と付き合うことになったあたしは、その旨を一番に親友のマキに伝えた。
あたしの話を聞いたマキは吹き出すように「やっぱりね」と言ったあと、手を合わせて飛び跳ねながら祝福してくれた。

そしてその翌日の昼休み。

あたしを中庭に呼び出して何かと思うと、そこには柳生先輩と手を繋ぎながら立つマキがいた。


「…え、なん」
「ごめん香奈!」


そして、開口一番に謝ったかと思うと、ぎゅっと強く柳生先輩の手を握り、頬を赤らめながら続けた。


「実はあたしと柳生先輩…付き合ってんの」
「内緒にしていてすいません」
「え……ええー!!」


なんと、なんと。あんなに仲むつまじいのになんで付き合わないのかと思っていたマキと柳生先輩は、とうに付き合っていたらしい。


「い、いつから!?」
「えっと…全国大会決勝の後?みたいな」


あたしが幸村先輩に告白された日かよ。


「わたしから告白させていただきました」


しかも柳生先輩からかよ。


「…っと、まずはおめでとう」


いろいろ聞きたいことはあるが、とりあえずお祝いの言葉を漏らすと嬉しそうに頬を染めて頬笑みあう二人。
…こんなラブラブしてんのに1ヶ月も気がつかなかったなんて。

幸村先輩のことがあって自分のことに必死だったとはいえ、親友としてあたしもまだまだだな。


「てか!…なんで教えてくんなかったの」


あたしは幸村先輩とのこと、真っ先にマキに報告したのにさ。なんかさみしい。
そういえば、顔色を変えて焦って弁解してくるマキ。


「ごめん!ほんとはあたしも言いたかったんだよ?でも…」
「わたしが言わないでいただきたいと言ったのです」


柳生先輩が?
理由が分からず首を傾げていると、先輩は続けた。


「ほら、あなた…その、幸村君に告白されて、返事をずっと保留にしていたでしょう」
「はぁ」
「わたしが恋を成就させたと幸村君が知ったら…その、何かよろしくなさそうで」
「……はは」


顔を青くしながら切々と語る柳生先輩に、それ以上何も言えなかった。
幸村先輩って、意外と恋愛事とかやっかみそうだしな。
テニス部の人に心を開いてる分、余計に。


「とにかく、あなたと幸村君が結ばれて良かったです。おめでとうございます」
「…ありがとう、ございます」


なんか、改まって言われると、照れるな。

そう思ってモジモジしていると、マキが急に抱きついてきた。


「とにかく、お互いおめでとうってことで!」


そう言って笑ったマキを見て、世界一可愛い親友だと思った。
うん、なんだかんだいってあたしが幸村先輩と知り合ったのもマキのおかげなんだよな。


とか考えると、ちょっと笑える。







はい、そんな感じで完結しました。
マキちゃんがどうなったか書いてなかったので、補足蛇足的に書かせていただきました。
無事くっついててよかったね。余談ですがマキちゃんは私の友だちがモデルです。


このたびは『花言葉』を読んでいただきありがとうございました。
この話は、マリーゴールドの花言葉が"生きる"だと知ったのと、幸村くんに「ぶっ殺す」と言わせたいが為だけに執筆しはじめた話でした。
ほんと行き当たりばったり。
なので何度も躓いた作品ではありましたが、無事完結出来たのは、この作品を読んで、待っていてくれた皆様のおかげです。
ありがとうございます。本当に。

簡単ですが、これで連載終了のあいさつとさせてもらいます。

10.12.18 了

 

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