夢の一週間休暇をもらったミーは、せっかくの休みを一分たりとも邪魔させないよう日本で過ごすことにした。イタリアにいるとさくっと出勤させられますからねー。ってなわけで、日本行きの飛行機をチェックしていたらセンパイに後ろから抱きしめられてジャッポーネなんか行くなよなんて言われて、絆された。
 ミーだって人並みにセンパイのこと好きなんですよ、仕方ないでしょー。
 任務だりーって言葉どおり本当に面倒くさそうにセンパイが出て行く背中を半ば強制的に見送りさせられて、センパイがアジトを出てずいぶん経ってからそういえば隊服じゃなかったな、なんて思ったが特に気にせず、ミーは街に向かった。なんでミーは休暇なのにわざわざ人混みに出向いているかと言えば移動中暇だったのか、今日何すんの、なんてメールを受信して特に何もって返したら『任務終わったらメシ。付き合え、決まり。』なんて横暴極まりないメールがきたから。仕方ないからじゃあ本屋にでも行って時間潰すかなんて思いながら、勝手すぎるだろ堕王子って返したけど、ちょっとミーにやついてる‥‥? 不覚ですー。って、この前自称王子が買ってきてくれた服着てる時点でミーも終わってるんですけどねー。


「‥‥あれ?」

 出て行ったときの服にジャケットやらアクセサリーやらが追加されて、髪の毛もいつもと違うふうにセットされていたけれど好きなんだから一目でわかる。
 センパイはきらきらした女と腕を組んで歩いて行く。存在に気付いてまだ一分経ってないにも関わらずキスシーンまでばっちり見てしまうんだから引きがいいんだか悪いんだか。
 貴重な休みに、わざわざ賑わっている街まで来たのを後悔した。目的も忘れてミーは雑踏に飛び込み、脇目も振らず普段滅多にしない全力疾走で帰った。その間にセンパイから着信は何度もきていたけど、鳴らなくなるかもしれないと思ったら怖くて、鳴ってるうちに電源を切った。本当は捨ててしまいたかったけれど、始末書じゃ済まないとギリギリの理性で思い止まったのだ。

「アジト戻るの、イヤですねー‥‥」

 これからでも日本に行こうか。そう考えて、でもどっか行ってたら行き損なので師匠に連絡してみたら意外と早く連絡が取れてなんと今みんな揃ってイタリアに来てるって言うから、泊まると聞いたホテルに向かった。
 そしてホテルにつき合流して一時間。久々の再会は大いに盛り上がっていた。師匠の胡散臭さも千種ニーサンのやる気のなさも犬ニーサンのやかましさも変わらないなぁなんて思いながら、クロームねーさんは明日の朝合流らしいから楽しみに、節度を守ってちびちび飲んでいたミーだったのに、犬ニーサンに潰されましたー。口じゃ適わないからって強行かこのやろー。
 その後師匠たちはどうしたのか知らないけれど、クロームねーさんからもうすぐ着くって電話でみんな飛び起きる羽目になった。あーくそ、頭ズキズキする‥‥。
 迎えに小走りで駅まで向かう中、ぐいっと腕を引かれて声を出す間もなく口を塞がれた。師匠たちは前を行っていたから気付かない。まずい、二日酔いとはいえミーに落ち度がある。早朝の路地裏なんて、誰もいない。
(しくじりましたー‥‥)






「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -