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どこかの漫画にかいてあった言葉を今更ながら思い出してみる。


人は相手の容姿を3秒で見極めるらしい。


それって本当のことなんだろうか。自分は経験したことがないからよくわからないから。


なーんてことをぼんやり考えながら外を眺める。今日も空は雲ひとつない青空。


あぁ、今日もつまらないな。


いつもと同じように流れる授業、風景。最近なにひとつ変わったことがない。


急に学校に怪獣が現れて戦うハメになったり、銀ちゃんが教師辞める宣言してお笑いに走ったり。


とにかくなにかひとつでも変わったことがあればわたしのモノクロの世界は少しでも色が足されると思うんだ。


わたしは色のある世界がほしい。そう思いながらも行動に移せない。わたしは臆病者である。


「ーーーーーであるからして、ここは主人公の気持ちがわかんだけどォ。」


現国らしい授業してると思っちゃうけど教科書がジャ〇プなのはないわ。


......よし。


「銀ちゃーん。」


「どうした凛華?デートの誘いはまた後でな。」


「脳神経外科か精神科行ってこい。」


「なにその扱い!?」


やばいこのままだったら話がズレてズレて授業が終わってしまう。


キーンコーンカーンコーン


ほら言わんこっちゃない。


「あー、終わったな。じゃあ次の授業も現国だから続きは後でなー。凛華、デートの誘いは今のうちだぞ。」


「お願いだからまじで病院行ってください。」


そう台詞を吐き捨て、わたしは教室を出た。


次の授業もどうせ銀ちゃんのあのつまんやい授業。もう一時間受けるなんて退屈すぎて仕方がない。


「あれ?凛華どこ行くネ?」


「もう少しで授業始まるわよ。」


トイレから出てきた神楽と妙ちゃんに遭遇。わたしは吐き捨てるように言った。


「つまんないからサボるって言ってて。」


ふたりが止める声を背中で受け止めながらも小走りに階段を駆けていった。





ーーーーーーーーー......





学校全体に鳴り響くチャイムを聞き流しながらある目の前の扉に手をかける。


わたしの、お気に入りの場所。


古びた音を立てながら扉が広がる。そこに広がっていたのは青い空の色と白い床、そして


「あれ?」


横たわる黒紫色の男。いつもと同じ風景にいないはずの男にわたしは恐る恐る近づいてみた。


「うわー、まつげ長い顔もすごく整ってる、と眼帯?」


左目なにかやらかしたのだろうか、眼帯をしている。そういえばこの顔どこかで見た気がしないわけでもない。


誰だっけ?


「たか、高山?あれ違うな。たか、高々?よくわかんない名前。」


「高杉だろ。」


「あ!そうそう!あの学校位置の不良少年高杉だ!ありがとー、お?」


声がした後ろをゆっくりと振り向く。そこにいたのはついさっきまで寝ていた人物だった。


「あっ、」


バチッと目が合う。その鋭い瞳はわたしをしっかりと捕らえて、逃がさない。


「独り言、か?」


1


「にしてもそんな風に言われてんだな俺は。ククッ。」


2


「......で、お前ェ誰だ?」


3


「姫路野、凛華、です。」


わたしの体の中の何かが弾けて、モノクロの世界に色がついていった。


どれも全て明るく鮮やかな色ばかりだった。







三秒で変わる世界







「姫路野凛華、知ってたけどな。」

「え、なんで。」

「同じクラスだろーが。」

「......そーだっけ。」

「ククッ、まあちょうどいい。暇潰しになれや。」

この暇潰しはわたしの世界を色付けてく絵の具だとはこの時誰も知らなかった。




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