( 1/2 ) 寒さをより一層増させるように空からハラハラと雪が降ってくる。 寒さが苦手なわたしは勿論雪なんかではしゃげない。はしゃげる人は本当にすごいと思う。 白い息が暗い闇の中へと消えていくのをわたしは見つめる。 見上げていたら頬に冷たい雪が当たる。 「つめたっ。」 顔を歪ませ頬に手を当てる。指先が少し濡れていた。 そもそも寒さが苦手なわたしが何故外にいるのか、それはわたしの彼氏ってやつを待っているわけ。 とくに特別な行事が近くにあるわけでもない。どうして今日夜遅くに待ち合わしているかというと、 「凛華に会いてー。」 という彼氏の我が儘に仕方なく付き合ってあげたのに。 「遅刻、てどういうことよ。」 そう、30分にわたしの家の近くの公園で待ち合わせしていたのに現在は58分。体が凍え死にそう。 立っとくのも疲れてきたので近くにあるブランコに座る。キィと切ない音を出してブランコはゆらゆらと揺れる。 下を向いて地面を思い切り蹴る。当然ブランコの揺れも大きくなる。 すると視界が突然暗くなる。 「だーれだ?」 「......遅刻してきたアホ。」 「じゃあ質問変える。凛華のなんでしょう?」 「わたしの下僕。」 「下僕!?」 バッと目元からなにかが離れる。一気に視界がクリアになった。後ろを振り返るとわたしの下僕がいた。 「下僕じゃないでしょ!?彼氏でしょ彼氏!!!」 「......下僕。」 「どこでそんな言葉覚えてきたのォォォ!?お母さんは許しません!!!」 「お母さんじゃなくて下僕でしょう。」 「だから下僕じゃなくて彼「遅刻。」」 「遅刻すんませんしたァァァ!!!」 「うむよろしい。」 頭を垂らして謝った銀時。最初から謝ればよかったのに。 そんなことをぼんやり思いながら見つめていると急に彼は笑い始めた。 「なんかついてる?」 「鼻、真っ赤。」 ぎゅっ、と鼻をつままれる。 「は、離しなしゃい!」 「ハハッ。変な声ー。」 「しょれは銀時が鼻つまんでりゅから!」 「可愛いー。」 鼻から手を離しわたしの頭を撫で撫でする。くそ、子供扱いしやがって。 頭を撫でながら優しく微笑む。 「......会いたかった。」 「そうなの?」 「ええ!?凛華は会いたくなかった!?」 「銀時が会いたい時は会いたい。」 「......毎日じゃねーかコノヤロー。」 雪が舞う闇の中、お互い温もりと愛を求めて抱き締めあう。 「会いたかったー。」 「......わたしも。」 どちらともなく顔を上げてどちらともなく引き合うように唇が重なった。 収まらない「会いたい」 寒くて凍えそうなのにどうしても離れたくなくて。 近くにいるのに一分一秒も離れがたいってこれのことを言うんだね。 この温もり、まだ感じていたい。 |