( 1/3 ) 私たち5人はいつも一緒だった。 物心ついた時にはもう既に傍にいた。そんな存在。 銀ちゃん、小太郎、晋くん、辰馬、凛華。 このメンバーでいることが日常で。いないことが不思議で。誰かが欠けていったら必ず何かが壊れる。そんな感じ。 「銀ちゃァァァァん!!学校遅刻するよー!!」 「やばいぞ。あと10分でSHRが始まってしまう!」 「ったく。いッつもアイツのせいで遅刻になるんだよ。」 「ハハハッ!!大丈夫じゃき!!金時はちょっと馬鹿なだけじゃ!!」 私たちは今銀ちゃんの家玄関で待っている。これも日常茶飯事。毎回のことで。 「悪ィ悪ィ。夜までモン○ン狩ってた。」 バタバタと階段を降りてくる銀ちゃん。制服もかなり乱れている。 「モン○ンだァ?んなもん捨てちまえ。」 「嫌ですぅ。あれは銀さんの唯一の楽しみなんですぅ。」 「戯れ事はいいから早く乗れ!」 「アッハッハッハ!!遅刻じゃきー!!」 「なにそれ笑い事ー!?」 小太郎の自転車には銀ちゃんと晋助、私の自転車には辰馬が乗った。 「めいり、わしが漕ぐけェ。」 「うん!!ありがとう。」 そう言って後ろに乗り、ギュッと辰馬に掴まる。 「( わあ。体ゴツいな。 )」 チャランポランで馬鹿なのに体はがっしりしていて、時々見せる真剣な顔に少しドキッとすることがある。 今もこんなに引っ付いていて実は心臓バクバク。気づかれないか心配だ。 私はこの時なんとなく気づいていた。もしかして辰馬が好きなのではないかと。 しかしまだ明確ではないので心の隅にしまう。 「キャアア!!あと1分だよー!?」 「なに!!学級員が遅刻は困る!!」 そういえば小太郎、今学期学級員になったんだっけ。 「うぉ!!」 「てめ、スピード出し過ぎだ!!」 3人乗りのペダル担当、小太郎はものすごいスピードで行ってしまった。 「た、辰馬!!私たちも急ごうよ!!」 「任しときぃ!!」 「あ、でも事故らない程度、にィ!!?」 早いよー!!振り落とされそうだよォォォ!! 「凛華!!しっかり掴まっとき!!」 「はわぁ!?」 ギュッと手を更に巻き付けさせる。もちろん余計密着するわけで…………。 「( 心臓やばいよォォォ。 )」 |