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「凛華。」


ホームルームが終わり、鞄に荷物を詰めている時だった。部活の先輩の沖田先輩が私を呼んだ。


「どうしたんですか?」


「今日部活サボろうぜィ。」


はあ。またか。


「もう!いつも言ってるじゃないですか!!予選大会が近いからダメですよ!!」


沖田先輩はとにかくサボり魔で有名。


放課後の部活の時はマネ半分を沖田先輩捜索隊、もう半分を通常マネとさせ、非常にマネや部員を困らせている。


放課後、土方先輩の怒鳴り声が止むのを聞いたことがない。


「それに昨日も体育館裏でサボってたでしょう?今日という今日は部活出て下さい!!」


キッと沖田先輩を睨むと何やら怪しい笑みを浮かべた。


「俺がそんな素直に聞くやつだと思ってんですかィ?」


グイッ


「へ?」


沖田先輩が私の腕を引っ張る。


「これも毎度のことだろ!」


「ひぇー!!」


チコ、沖田先輩に連れ去られちゃいます!!ギャー!!





----------------......





「ハアアァァ。」


深い深ァァァァい溜息をつく。


結局私は沖田先輩にされるがまま市内へと飛び出したのだった。


これが土方先輩に見つかったら…。やばいよ。身震いが止まらない。


「どうしたんでィ、凛華。そんなに俺とのデートは楽しくないか?」


いやいやいやいや。これが普通のデートでしたらすごく嬉しいですよ?確かに沖田先輩優しいし(ドSだけど)、かっこいいし(ドSだけど)。


だけどね......。


「私巻き込んで部活サボるの止めてくださいよォ。」


というか何故いつも私なのさ。


「………。」


あれ?急に黙り込んじゃった。


「すいやせん凛華。」


あれあれ?コレハユメ?あの沖田先輩が謝ってるぞ?


「俺ァただ凛華と」


突然の指と指の間に感触。


手を見るとそれは世の中で言うカップル繋ぎと言うものだった。


「こういうことがしたかっただけでィ。」


顔に全身の熱が集まる。なにかわからない汗まででてきた。


視線をどこに向けたらいいかわからず、チラリと沖田先輩を見る。沖田先輩もほんのりと頬が赤い。


その時視線が絡み合った。


「………ダメですかィ?」


心臓がバクバクと音をたてて鳴る。相手に聞こえるんじゃないかってくらい。その心臓がある場所をぎゅっと握り、答えた。


「今日だけですよ…?」










わざと掛かった甘い罠










その後、土方先輩に仲良く怒られた二人でした。



→あとがき


 
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