( 1/2 ) 「凛華。」 ホームルームが終わり、鞄に荷物を詰めている時だった。部活の先輩の沖田先輩が私を呼んだ。 「どうしたんですか?」 「今日部活サボろうぜィ。」 はあ。またか。 「もう!いつも言ってるじゃないですか!!予選大会が近いからダメですよ!!」 沖田先輩はとにかくサボり魔で有名。 放課後の部活の時はマネ半分を沖田先輩捜索隊、もう半分を通常マネとさせ、非常にマネや部員を困らせている。 放課後、土方先輩の怒鳴り声が止むのを聞いたことがない。 「それに昨日も体育館裏でサボってたでしょう?今日という今日は部活出て下さい!!」 キッと沖田先輩を睨むと何やら怪しい笑みを浮かべた。 「俺がそんな素直に聞くやつだと思ってんですかィ?」 グイッ 「へ?」 沖田先輩が私の腕を引っ張る。 「これも毎度のことだろ!」 「ひぇー!!」 チコ、沖田先輩に連れ去られちゃいます!!ギャー!! ----------------...... 「ハアアァァ。」 深い深ァァァァい溜息をつく。 結局私は沖田先輩にされるがまま市内へと飛び出したのだった。 これが土方先輩に見つかったら…。やばいよ。身震いが止まらない。 「どうしたんでィ、凛華。そんなに俺とのデートは楽しくないか?」 いやいやいやいや。これが普通のデートでしたらすごく嬉しいですよ?確かに沖田先輩優しいし(ドSだけど)、かっこいいし(ドSだけど)。 だけどね......。 「私巻き込んで部活サボるの止めてくださいよォ。」 というか何故いつも私なのさ。 「………。」 あれ?急に黙り込んじゃった。 「すいやせん凛華。」 あれあれ?コレハユメ?あの沖田先輩が謝ってるぞ? 「俺ァただ凛華と」 突然の指と指の間に感触。 手を見るとそれは世の中で言うカップル繋ぎと言うものだった。 「こういうことがしたかっただけでィ。」 顔に全身の熱が集まる。なにかわからない汗まででてきた。 視線をどこに向けたらいいかわからず、チラリと沖田先輩を見る。沖田先輩もほんのりと頬が赤い。 その時視線が絡み合った。 「………ダメですかィ?」 心臓がバクバクと音をたてて鳴る。相手に聞こえるんじゃないかってくらい。その心臓がある場所をぎゅっと握り、答えた。 「今日だけですよ…?」 わざと掛かった甘い罠 その後、土方先輩に仲良く怒られた二人でした。 →あとがき |