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その人はこの時代にはあまりにも不釣り合いな格好をしていていました。だけどとても似合っております。


それに妙な殺気、吊り目が印象的なお方。


こんな人、この時代にいると思いますか?


いたんです。


「はわぁー。」


「………。」


ここに。


あ、申し遅れました。私ここの甘味屋で働かせていただいてる凛華と申します。


そんな私、今日は常連客の坂田さんも来ないので席に座りボーッとしていた頃でした。


あのお方が歩いていたのです。


「ああああ天人!?」


天人を見るのが初めてな私にとって(最近上京してきたばかりで、今まで人型の天人をみたことがなかったもので)あのお方は大変印象的で、つい手を取ってしまいました。


それで今の状況です。


彼は少し帽子を上げ目を見開く。そしてこちらをあの細い目で見た。


「貴方、誰ですか?」


「ああああの!!私は凛華と申しまして!!」


「さしゃ?知り合いにそんな名前はいませんが、」


「えぇ!!私もあなたに初めてお会いしました!!」


「………は?」


彼はクククッと可笑しそうに笑う。


「では初めまして凛華さん。」


「初めまして。えっと、」


「あぁ。申し遅れました。」


彼は高そうな帽子を取り胸のところに当てる。


「私は統制機構の諜報部に所属しているハザマと申します。」


「統制、?ハザマ、さん?」


「はい。ハザマです。」


ニコリと笑うが何故か気分のいい笑い方ではなかった。


「ところで凛華さん。」


「はい?」


「ここはどこなのですか?」


「………は、?」


「なんか皆さん和風ですよね?」


そうか。もしかして最近江戸にきたばかりとかでは。


「ここは日本の江戸ですよ。」


「日本、ですか?」


「えぇ、日本です。」


彼はそうですか、と呟くと考え事をし始めた。


「もし私で宜しければ江戸の町、歌舞伎町をご案内致しましょうか?」


道に迷ってしまい困り果ててしまっているのかもしれない、私はそう思いました。


「……そうですね。折角ですから案内、宜しいですか?」


口元が上がる。


「よ、喜んで!!」


バイトの親父さんに一言言い、私達は江戸の町、歌舞伎町を歩き回った。
 
 
 
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