( 1/3 ) 私のクラスにはどこかの少女漫画に必ずいる、皇子様が存在する。 そりゃあ、ベタか!ってツッコみたいくらい。 綺麗な顔立ちに可愛らしい江戸っ子口調の男の子、沖田総悟くん。 性格は少しひねくれてる。いや、かなりか。 彼はサディスティック星の皇子のあだ名を持つ程のサディスト。 被害者は神楽ちゃん、土方くんに留まらず最近は他の人にも被害が及ぶ。 だけど大半被害に遭うのは土方くんだ。 そんな彼、今日の放課後も女の子に囲まれている。 顔がすごくすごく歪んでいるのがわかった。もう、表情で既に嫌という気持ちが溢れ出ている。 のに気づかない女の子達は騒ぎながら沖田総悟くんの周りに集まる。 キャイキャイ 「ねえねえ沖田くん!今度の日曜日遊ばない?」 「その日は用事がありまさァ。」 即答する彼。しかし女の子達は負けじと次の攻撃をしてくる。 「じゃあじゃあ来週の土曜日は?」 「剣道の試合。」 「あ、じゃあ今日とかは?」 「いいねー、それ!」 その時、沖田総悟くんは少し声を荒げて言った。 「悪ィんですけど、」 ギロリ、と睨む。 「当分忙しいんでさァ。」 彼は女の子の間を通り抜けて教室を出た。女の子達は文句を言いながらも彼を追い掛けていく。 これはいつもの日常なので誰もツッコまないし感心しない。 私は沖田総悟くんが出ていった場所をボーッと見ていた。無意識に。 「………。」 「凛華?どこ見てるアルカ?」 ハッ、と我に帰る。目の前には神楽ちゃんがいた。 「どこも見てないよ、ちょっとボーッとしてただけ。」 「ふーん?」 不思議そうに返事を返されたが、すぐに昨日食べた新作の酢昆布の魅力について語りはじめた。 私はそれを笑顔で聞く。話の内容は全くわからないけど。 ブーッ ブーッ ポケットに入れてた携帯が鳴る。私はポケットに入れてる携帯を出し、メールを開いた。 『今日5:30いつもの場所で』 メールにはそれしか書いていなかった。それを見てニヤけてしまう私は相変わらずだ。 『了解。』 そのメールに相変わらずの返事を送った。 そしてその時間になるまで神楽ちゃんの話にとことん付き合った。 |