( 2/3 ) なぜかわからないが知らない間に翌日になっていた。 昨日銀ちゃんとわかれてから記憶が曖昧で、気づいたら着物を来て外で待っていた。 ……一種の記憶喪失? 「悪ィ凛華。待たせたか?」 そう言ってやってきたのはいつも通りの銀ちゃん。 「待ってないから大丈夫だよ。」 「そ、か。んじゃ行くか。」 銀ちゃんは私の隣を歩き、目的地まで他愛もない話をしながら歩いていた。 ただ気になったことが。 気のせいかもしれないが彼の微笑みがいつも以上に多い。そして私が緊張していること。 一体、どうして? 気がつけば目的地まで着いていた。どうやらそこまで遠いところではないらしい。 そこは特に繁盛しているわけでもなく客もいないわけではなく。隠れ場みたいなところだった。 銀ちゃんは迷わずのれんを潜る。私もその後に着いていく。 銀ちゃんは席に座るや否やメニューも見ず、 「親父ィ、いちごパフェ2つー。」 いちごパフェを頼んだ。 「へぃよぉ!!」 親父さんの低い声が店内に響く。 「銀ちゃん、ここの常連さんだったの?」 「あぁ、昔はな。」 「そうなんだァ。でも今は私のところだもんね。」 「おう。なんたってお前ェとこの親父は甘党の良さを知ってるからなァ。」 「そうだよォ。あの小豆のやつだって父さんはまっちゃったもん。」 「いやァ、まさか俺と同等の甘党がいたとはな。」 「おかげでこっちは大変困っております。」 その時、お待たせーという声と共にやってきたのは、 「……すごーい。」 「だろ?」 上に乗せてあるいちごの量がすごかった。スプーンに乗せ口の中へと入れる。 「おいひぃ〜〜〜。」 口の中に甘酸っぱい感じが広がる。しかもさっぱりしていてとても食べやすい。 ひとりでうっとりしている時、目の前にいる銀ちゃんは 「はぐっ、んぐっ。」 「必死に食べているし。」 「ひや、らってうへーひ。」 「……喋れてないし、」 しかも口の横クリームついてるし。 私はそれを指で掬う。その瞬間ぴたりと銀ちゃんの動きが止まった。 「ほら、クリームついてたよ。」 さすがに舐めるのは恥ずかしいのでナプキンで拭き取ろうとした。 しかし、 「もったいねーよ。」 「へ?………ひゃぁ!?」 何が起こったのか一瞬理解ができなかった。 ただ気がつけば私が掬いとったクリームは銀ちゃんの口の中に入っていた。 理解した途端、口に含まれた指が熱くなる。 「ごっそーさん。」 ニヤリ、と笑う銀ちゃん。それは悪戯っ子がする笑みだった。 「……か、確信犯。」 「なんのことかなァ?」 そう言って再びパフェを食べ始めた。 甘酸っぱい確信犯 「通りでしつこかったわけだ!!やっぱ銀ちゃんは意地悪だァァ!!」 「んなことねーよ?銀さんはただクリームもったいねーと思っただけだしィ。」 「そんなことなら私が食べたのに……。」 「ふーん?食べてくれるのか?」 「……ハッ!!しま、」 「次回を楽しみにしとくかなァ。」 「うそーんんん!!」 |