( 2/3 ) 結局私は万事屋にお邪魔することになった。銀ちゃんに招かれソファに向かい合って座る。 しかし、 「…………。」 「…………。」 お互い黙ったままの気まずい雰囲気が流れていた。 やばい。ここは会話しとくべきだよね?でででででも私口下手だし。 うわああ、と心の中で苦闘する私。きっと今の私は冷や汗の量が半端ないに違いない。 そんなとき、銀ちゃんは突然立ち上がりトコトコと歩く。 歩いて、歩いて、 ボスッ 私の隣に座った。 「ふぇ!?」 恥ずかしくなり横に退けようと体を動かしたが、既に遅し。銀ちゃんに腕を捕まれていた。 「あああああの。」 恥ずかしくなり俯く。 銀ちゃんは私を横に向けさせ両腕をしっかり持つ。しっかり持つけどなんとなく優しい。そして口を耳元に近づけ言った。 「凛華……。」 低い声が耳から入り脳を刺激する。酔いしれてしまいそうだ。 「は……は、い。」 あぁ、私この声好きだな。そう思っている時、 「凛華はさ、俺のこと嫌いなの?」 「……はい?」 衝撃的な言葉が出てきた。 「や、だってさ、神楽や新八といる時はすげー笑顔なのによ、俺といると顔が強張ってから。」 そうだったんだ。てか弱気な銀ちゃん、初めて見たかも。 ああ、もうこの際言いたいこと言おうかな。 覚悟を決め固く閉ざされていた口を開く。 「……私ね、すごくシャイで口下手なの。とくに気になる人の前ではね、緊張しちゃって全部全部力が入っちゃうの。だから、」 私の言葉は続かなかった、続けれなかった。 銀ちゃんに強く抱きしめられたから。 「なあ。」 愛しい声が私の脳を麻痺させる。 「はい……。」 「俺、勘違いしてもいい?」 脳を麻痺させられた今の私はなんでもできるみたい。そっと銀ちゃんの背中に腕を回し耳元に口を近づけた。 「勘違い、なんかじゃないですよ。」 そう囁くと銀ちゃんは私の頬を両手で包み愛しそうに微笑んだ。 姫の呪いを解く方法 姫はある日、嫉妬に怒り狂った魔女に好きな人の前だと上手く話せない、という口下手の呪いとシャイの呪いをかけられました。 姫の呪いを解く方法はただひとつ。 それは愛しの方の声を心に響かせることでした。 しかし姫は気になる方ができても、口下手でシャイなため中々心に響く声を聞くことができませんでした。 そんな時に現れたのが、銀髪天パの全く頼りなさそうな王子様だったのです。 →あとがき |