( 2/3 ) 「オイ。」 「ななななんでしょ!?」 「なんでそんなに離れて正座してんだ。もう少しこっち来いよ。」 寝転んでいた彼はちょいちょいと手招きをする。 「いや、臭い匂いとか移っちゃうといけないんで。」 本当は怖くて怖くて近付けないのが本音。だってあの目!睨んだだけでそこら辺の虫を殺せそう……。 「は?臭い?」 すくっと立ち上がる彼。私の隣まで来てしゃがみ首元に顔を近づける。そしてスンスンと匂いを嗅ぎはじめた。 「!!!!!!!???」 「別に、いー匂いじゃねェか。」 「ああああああ汗が!」 「あぁ?汗だァ?」 今は夏。当然汗をかいているわけで。しかもこの状態ときた。冷や汗が半端ない。 ペロッ 「ぎゃわぁ!!?」 突然首に変な感触がした。正体は言わなくてもわかるだろう。 「ククッ。色気のねー声。」 「£%#&*@!!?」 突然のことの連発で私は何がなんだかで頭が混乱していた。 「……で?気持ちは落ち着いたか?」 「え?」 気持ちが落ち着いた、って。 「どゆこと?」 「さっきまで死人のよーな顔してた。」 そっぽ向く高杉晋助君を私は首元を押さえ見つめた。 もしかして、心配してくれたの……? 「ありがと、ございます。」 「おぉ。」 しばらくシン、となる倉庫。そこで高杉晋助君が口を開いた。 「知ってるか。」 「?」 「明日が来ることは当たり前ェじゃねんだと。」 「なんで?」 「今日もしかしたら地球が爆発するかもしんねー。」 「んなまさかー。」 「今日もしかしたら火山が噴火して町を飲み込むかもしれねー。」 「そんなの奇跡に近いよぉ。」 「このもしかしたらが起きたら、お前どうする?」 高杉晋助君は片目で私に問い掛けた。 もしかしたら、が全て現実になったら。 「……大変だ。」 「あるやつが言ってた。 もしかしたら明日がないかもしれない。だから後先考えるよりも今を後悔しないように頑張って生きろ、てな。」 ポン、と頭が重くなる。高杉晋助君の手だとわかったのは数秒後。そしてガシガシと乱暴に撫でられる。 「未来について悩むのもいいが、今は今を懸命に生きてもいんじゃねーか?」 明日という奇跡 もしかしたらが起きたら、私は嫌だ。 高杉晋助君が言った通り未来ばかりに悩むのではなく、今この瞬間瞬間を大切に生きよう。 とりあえず後悔しない程度に生きようかな。 こう高杉晋助君に伝えると、滅多に見せない笑顔を見せてまた頭を撫でてくれた。 今度は乱暴にではなく珍しく優しく。 →反省 |