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「オイ。」


「ななななんでしょ!?」


「なんでそんなに離れて正座してんだ。もう少しこっち来いよ。」


寝転んでいた彼はちょいちょいと手招きをする。


「いや、臭い匂いとか移っちゃうといけないんで。」


本当は怖くて怖くて近付けないのが本音。だってあの目!睨んだだけでそこら辺の虫を殺せそう……。


「は?臭い?」


すくっと立ち上がる彼。私の隣まで来てしゃがみ首元に顔を近づける。そしてスンスンと匂いを嗅ぎはじめた。


「!!!!!!!???」


「別に、いー匂いじゃねェか。」


「ああああああ汗が!」


「あぁ?汗だァ?」


今は夏。当然汗をかいているわけで。しかもこの状態ときた。冷や汗が半端ない。


ペロッ


「ぎゃわぁ!!?」


突然首に変な感触がした。正体は言わなくてもわかるだろう。


「ククッ。色気のねー声。」


「£%#&*@!!?」


突然のことの連発で私は何がなんだかで頭が混乱していた。


「……で?気持ちは落ち着いたか?」


「え?」


気持ちが落ち着いた、って。


「どゆこと?」


「さっきまで死人のよーな顔してた。」
 
 
そっぽ向く高杉晋助君を私は首元を押さえ見つめた。


もしかして、心配してくれたの……?


「ありがと、ございます。」


「おぉ。」


しばらくシン、となる倉庫。そこで高杉晋助君が口を開いた。


「知ってるか。」


「?」


「明日が来ることは当たり前ェじゃねんだと。」


「なんで?」


「今日もしかしたら地球が爆発するかもしんねー。」


「んなまさかー。」


「今日もしかしたら火山が噴火して町を飲み込むかもしれねー。」


「そんなの奇跡に近いよぉ。」


「このもしかしたらが起きたら、お前どうする?」


高杉晋助君は片目で私に問い掛けた。


もしかしたら、が全て現実になったら。


「……大変だ。」


「あるやつが言ってた。


もしかしたら明日がないかもしれない。だから後先考えるよりも今を後悔しないように頑張って生きろ、てな。」


ポン、と頭が重くなる。高杉晋助君の手だとわかったのは数秒後。そしてガシガシと乱暴に撫でられる。


「未来について悩むのもいいが、今は今を懸命に生きてもいんじゃねーか?」
 
 
 
 
 
 
 
明日という奇跡
 
 
 
 
 
 
 
もしかしたらが起きたら、私は嫌だ。


高杉晋助君が言った通り未来ばかりに悩むのではなく、今この瞬間瞬間を大切に生きよう。


とりあえず後悔しない程度に生きようかな。


こう高杉晋助君に伝えると、滅多に見せない笑顔を見せてまた頭を撫でてくれた。


今度は乱暴にではなく珍しく優しく。




→反省
 
 
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