( 3/4 ) 銀ちゃんの後ろに乗った私。どこかへ向かっているみたいだ。ところで神楽ちゃんと新八は放っといてよかったのだろうか? 「どこへ行くの?」 「内緒。」 人差し指を唇にあて意地悪に微笑む。 ……その笑顔ずるい。可愛すぎてなにも聞けないじゃない。 しばらくして着いた場所は 「海!」 今の季節にぴったしの場所だった。 すぐにスクーターを降り裸足になる。そしてまだ冷たい海水の中へと入った。 「えへへ。まだ冷たいね。」 「凛華は本当に海好きだよな。」 そう言って砂浜に腰を下ろす銀ちゃん。私も海水から上がり横に座る。 さざ波の音が心地好い。海風が頬を撫でる。 「……銀ちゃん、なにも聞かないの?」 あの顔とか態度とか見てたら銀ちゃんならすぐ気づくはずだ。それなのに聞いてこないのに疑問を持つ。 「無理して話す必要ねーよ。 ただ凛華が頑張ってるのは知ってるからな。」 そう一言、言ってくれた。その一言が嬉しくて、すごく嬉しくて頬に一筋の涙が零れる。 銀ちゃんはなにも言わず抱きしめてくれた。その暖かさが妙に安心できてまた更 に涙が零れる。 「ありがとう。ありがとう銀ちゃん。」 「辛くなったら俺んとこ来い。またこうやってやるから。 凛華が笑うまでずっと抱きしめとくからな。」 「うん。ありがとう。 大好きな銀ちゃん。」 この心臓がポカポカと暖かい感情は恋か何か。 ただひとつわかること。貴方は私の近くにいてほしい存在。いないと何かすごいものに押し潰されそう。 貴方はずるい人。 何も聞かず黙って抱きしめる。それが妙に私を安心させるの。 貴方は優しい人。 いつも頼ってばかりの私をまた助けてくれた、私の救世主。 大好きな銀ちゃん。 いつか貴方にとっても私が必要な存在になってほしいな。 「俺ァはアイツがいないと生きていけねーかもな。」 心の中で呟く銀ちゃん。もちろん凛華には聞こえず。 →あとがき |