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俺は坂田銀時。そこにある銀魂高校に通う3年生である。世にも珍しい銀髪(周りは白髪とか言うが違うから)に天パで怠そうな目が特徴的。ちなみにこの特徴は俺が上げたものではない。周りの人に言われたことだ。


そんな俺にもなんといいことに彼女がいる。彼女の名前は姫路野凛華。俺と同じクラスの中肉中背のいい女。あれ、これ褒めてることになってる?いや、なんか違う気がする。まあ、いいか。


彼女がいるおかげで青春をより一層謳歌しているのだが実はこんな俺にも悩みがある。これも青春の一つだとかいうやつがいるがそんな領域には入らない。


俺は今までこんなことで悩んでいるやつに出会ったことがない。いや、出会えたらすげーよ、うん。ぜひご挨拶に伺いてェわ。


考え事をしていたらすぐ目の前には銀魂高校の校門。それをくぐり抜けて俺は下駄箱へと向かった。


ガチャンと物寂しく下駄箱が鳴りその中にはきったないシューズがひとつ寂しく入っていた。いや、それにしても汚すぎる。


それを荒々しく下に置き靴と履き替えてキュッキュッと間抜けな音を出しながら教室へと向かっていく。その間に何人かの女子と通り過ぎるが彼女はいない。


ついに来た教室の前。扉に手を掛けて勢い良く開けた。



ガラッ

「......。」



やはりそこにはいつもの光景しかない。いや、他人から見たらいつもの光景ではないだろう。


俺は溜め息をついて自分の席、窓際の一番後ろの席へと座る。そこには腐れ縁のあいつらが溜まっていた。



「むっ、銀時。貴様また遅刻ギリギリか。」

「うるせーな。お前は俺の母ちゃんか。」

「仕方ないきヅラ!金時はお寝坊さんじゃからの!」

「お前は毎度毎度!!だから俺は銀時だっつーの!!」

「んなことよりもいいのかよ、銀時。」

「あ?なにが。」



そう言って中二病気取りの高杉が指さすのはたくさんの女の子に囲まれている俺の彼女、凛華。


大事なことなのでもう一度言う。たくさんの女の子に囲まれている俺の彼女、凛華がそこにいた。



「...いつものことだろ。」

「いやー、しかし凛華殿は銀時よりもモテてるなァ。」

「話コロッと変えんなよ!!」

「彼氏より彼女の方が女にモテるってことあるか?」

「初めて聞いて、初めて見たぜよ。」

「うるせーよ黙れよお前ら!!人の傷抉って楽しいか!!」



そう、俺の最大の悩みは「彼氏より女の子にモテる彼女」についてである。


いや別に悔しいとか悲しいとかじゃなくてね?ちょ、やめて。哀れみな目で見ないで。俺、本当に泣いちゃうから。


ゴホン。とにかく俺の彼女は女にモテる。彼女は剣道部に所属しており主将を努めている。短髪で顔が小さくて優しくて他の女子より少し背が高い。それでも俺より小さいがな。


その容姿と性格の良さからか女子からとてつもなく人気で、朝から昼から放課後全て周りには女子女子女子。そんな彼女は学校で「剣道部の王子様」と呼ばれている。


男子剣道部といえば俺や高杉、ヅラ、もじゃも所属している。後は多串くんや総一郎くん、あとゴリラも居たっけな。女子剣道部はよくわかんね。だって凛華しか興味ねーし。


とにかく!彼氏より女の子にモテる彼女を持つ俺は非常に悩んで悩んでた。



「銀時、落ち込むな。お前がいくらモテないからって。」

「だァァァァァ!!うるせーよヅラ!!なにお前如何にも俺はモテてますみたいな言い方!!腹立つんだよ!!」

「まぁ、落ち着けよ。ククッ。」

「てめーはモテてるからって調子のんじゃねェェェ!!!」



ガチャーン、ガシャーンとヅラの長い髪を引っ張ったり高杉の頬を思い切り抓ったり、あと何故か巻き添えを食らった坂本を蹴り飛ばしたり。


こんなことも日常のひとつだったり。


するとあっちの方からタッタッと小走りする音が聞こえた。その発せられた声と共に俺達の行動は止まる。



「もう!あんたたち!毎回毎回騒いでたらいつか怪我人出るよ!やめなさい!」



....俺の彼女凛華である。仁王立ちして注意する彼女の背後では女子が「かっこいい」やら「素敵」やらとぼやいている。


いや、それより。俺は彼女の方を見た。凛華は「なに?」みたいな顔で見てくるがこっちも「なに?」と問い出したい。


お前の背後がキラキラ輝いて見えるのは俺だけだろうか。



「は、ははっ。」



これが女子にモッテモテの剣道部の王子様の特権ってやつですかコノヤロー。







無駄にキラキラしてんじゃねえよ



こいつ、背後に何か背負ってるんじゃねーの。

今日はより一層無駄にキラキラしてる気がすんだけど。



 
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