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恋人がドSなんですけど、どうしたらいいですか?



学校帰り、暇だったからコンビニに立ち寄ってたまたま雑誌コーナーにいってたまたま取った雑誌の一部に「恋人の悩み相談!」とかわけのわからないページがあった。そこに先程の質問が書いてあったのだ。わたしはそれに食い入るように見る。


わたし姫路野凛華は学校の王子として有名な沖田総悟とお付き合いをしている。只今1年6か月突入中。そんな長く付き合ってくるとお互い素が嫌でもわかるわけで。今わたしはその素に困っているのだ。


沖田との出会いはたまたま廊下ですれ違った時。その時に肩がぶつかり持っていた荷物が廊下に散らばったのだ。それが彼との出会い。


それからの経緯はそりゃあ学生なりの甘い経緯がありまして。そこは恥ずかしいので省きましょう。話すわたしも恥ずかしいです。


とにかくコンビニなうのわたしはここで食い入って立ち読みするのも店員さんに悪いなと思い、お財布と相談した後その雑誌を買ってコンビニを後にした。開いたドアから春とは思えない程の冷たい風が襲ってくる。今夜はどうやら寒いらしい。



「ありゃ?凛華じゃねーかィ。」

「あ、沖田。」



そこにはわたしの彼氏沖田以外にも土方くんや山崎くん、近藤くんがいた。どうやら剣道部の仲良しグループで帰っていたらしい。



「部活帰り?」

「見りゃわかるだろィ。」

「......そーですね。」



相変わらずの返事に頬を膨れる。突き放すような返事に昔はかなり悩んでいたなあとか思い出す。



「そんじゃ、俺ァ帰りやす。」



わたしの腕を粗末に持ち、引く。転けそうになりながらもなんとか持ち越したわたしを引っ張る沖田。また転けそうになるわ!



「あぁ、気を付けてな総悟、凛華ちゃん!」

「ばいばーい。」

「気を付けろよ。......姫路野。」

「土方死ね。」



んだとゴラァァァという叫びを背にわたしはみんなにさよならをする。


沖田はなんだかんだでわたしと帰るのを最優先してくれる。友達といるときだって部活仲間といるときだってわたしを見つけたら一緒に帰ってくれるこの優しさが好きだ。



「......。」

「......。」



帰っているとき特に話はしない。しかし苦ではない。一緒にいるこの空気も好き。とても落ち着く。



「今日も部活遅かったね。」

「大会近いからなァ。」

「大会いつなの?」

「......なんで知りたいんでィ。」

「え、応援いきたいから。ダメ?」

「嫌だ。」

「嫌じゃなくて、え?ダメ?」

「嫌だ。」

「ダメなの?」

「......馬鹿。」

「ちょ、馬鹿じゃないし!」

「じゃあブス。」

「かなり傷つくんですけど!」



そう怒るとニヤニヤと口が弧を描く。彼はわたしが怒るのを楽しんでいるドSだ。毎回この会話になる。


そうわたしは彼のこのドSに大変困っている。彼は隙あらばわたしをからかい苛めてそして楽しむドSことサディスティックな人なのだ。


何かやり返せないかと策を考えているとき雑誌に書いてあるあの言葉が思い出した。そして実行に移してみることにした。



1. 何をされても笑顔で耐えなさい



確かこう書いてあったはずだ。早速実行に移す。



「絶対試合来んなよ馬鹿。」

「えー、見に行きたいな(ニッコリ)。」

「あ、もし来たら×××するからな。」

「わ、わかりました(ニッコリ)。」

「......やっぱり約束破ったら昼御飯マヨまみれにしてやらァ。」

「そ、それはダメかなあ?(ニッコリ)」

「......。」

「......な、なによ。」



全ての受け答えに笑顔をつけて話すわたしを沖田はじっと上から見下ろす形で見た。実際彼の方が背が高いから仕方なく見下ろすようになってしまうがコイツの場合は一味違うのだ。経験してみればわかる。



「お前、」



スッと沖田の顔が近づく。手が頬に添えられ綺麗な赤い瞳がもうひとりのわたしを写す。この行動の意味を知っているわたしはただその時を目を閉じて待っていた。


どきどきと高鳴る鼓動。やるなら早くしてくれと更に強く目を閉じる。



「......お前さ、」

「な、なんでしょう。」

「気持ち悪ィでさァ。ニヤニヤして。」

「へっ。」



想像していた言葉と違う言葉が聞こえたので思わずパッと目を開けてしまった。それがいけなかった。



ちゅっ



軽く重なるわたしの唇と目の前の唇。一瞬脳がついていけなかった。



「ばーか。」



そう吐き捨て先歩く彼を追いかけたのは数秒後のことです。そして澄まし顔で歩く彼を見て溜め息が出たのも数秒後。どうやら彼の方が一枚上手だったようだ。







作戦失敗



まあ、まだ1回目だしね。

めげずに次行ってみましょう。



 
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