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リンリンリン


学校の帰り道、昼間のうるさかった蝉の鳴き声はほとんど聞こえず、代わりに鈴虫の綺麗な鳴き声が耳に入りそして出ていく。


空は夕暮れよりも少し薄暗くあちこちで星がでている。この中途半端の空色が一番好きだ。


綺麗で美しい色合いが自分の中の何かを擽るから。


「(そういえば、確かあの帰り道の時あいつもこの空色好きだって言ってたねィ。)」


薄暗くのびる影を見下ろす人物、沖田総悟。


彼はここでは少し名の知れている銀魂高校の生徒。スポーツ推薦でこの学校に入学した。


スポーツは剣道。小さい頃から近藤さん(現在部長)率いる道場に通い日々特訓していた。正確には近藤さんのお爺さんが指導をしてくれていた。


姉上に見てもらいたい、見てほしい。自分の存在をアピール。そんなことから始めた剣道。


今では中学部門全国大会1位の好成績を残している。中学の顧問も納得した顔をしていた。


正直その顔を見てイラッときたのを覚えている。まるで自分の教え方がよかった、みたいな満足顔。本当は近藤さんのお爺さんのおかげなのに。


しかし去年、剣道を始めるきっかけとなった姉上が亡くなり沖田はやる気を無くしていた。
 
 
どうせ頑張ったって、姉上もいねーし。誰も見てくれない。


そんなことをつい、ほんのつい最近まで思っていた。


あいつに会うまでは。
 
 
 
 
 
 
 
俺の存在理由
 
 
 
 
 
 
 
俺は何がしたくてこの世に生まれたのだろう。

俺が存在していたことで誰かに何かが起こったのだろうか。

そもそも俺が生まれたことに意味はあるのだろうか。

お前はそんな疑問を一気に吹っ飛ばしてくれたよな。

 
 
 
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