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姫路野凛華。


この前ひとりでいたら急に来て謝ってきたやつ。俺から見たらすげー変な女。


だけどなんか放っておけない不思議なやつをいつの間にか目で追っていた。


「――――――悟。」


「(あ、目が合った。手振ってらァ。)」


ひらひらとやる気なく振り返す。相手は満面の笑みで更に振り返す。


あの泣き顔は一体どこへ…。


「オイ。」


声のする方向を見る。


「どうしやしたか土方さん。」


俺の前の席に腰掛けている土方さん。


「お前がどうした総悟。何回呼んでも無視しやがって。


で、誰に手を振ってたんだ?」


「アイツでさァ。」


ポニーテールをしている女を指差す。


「あぁ、この前転校してきた姫路野凛華だろ?」


「あり?何で知ってんでィ。」


「そりゃあ有名だからだ。全国模試1位で東大は軽くいけるだろうって噂のやつだ。そんなやつがスポーツ専門のココに来たんだからな。生徒の注目の的だ。」


「……へー。」


アイツそんなにすごいやつだったんだ。あんなヘラヘラして危なさそうなのに。


「それより総悟。部活はまだダメか?」


「ダメだねィ。」


即答で返事を返す。


本当は出れるけどそんな気分になれない。もしかしたらもう二度と竹刀を握らないかも。


「……そうか。近藤さんも他の部員もお前が帰ってくるのを待ってるぞ。」


「そうですかィ。」


キーンコーンカーンコーン


いいタイミングでチャイムが鳴る。土方さんは名残惜しそうな顔をしながらも自分の席に座った。


先生が入ってきて挨拶し授業が始まる。お経を聞いている気分だ。


俺は机に顔を伏せ、寝る体勢に入った。
 
 
 
 
 
――――――――………
 
 
 
 
 
「………あり?」


起きたらもう教室はオレンジ色で誰もいなかった。


「寝過ごしたか。」


まだ視界がぼやける目を擦り鞄を取る。帰ってもう一度寝よう。


ガラッ


「きゃっ!」


教室のドアを開けたら姫路野凛華がいた。


「びっくりしたー。急にドアが開くから幽霊かと思った。」


「すいやせんね、俺で。」


「いやいや。私、そ…沖田君に用事あったから。」


「俺にかィ?」


「うん。」


そう言って手を差し出す。


「一緒に帰ろう!」
 
 
 
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