( 1/1 ) 「………はあ。」
今日も何事もないような青空。正直憎くて仕方がない。
「……オイマヨラー。」
「んだよ。」
「アイツ、どうしたアルカ?」
「アイツ?」
「ドSの野郎ネ。ずっと外眺めて溜息アル。」
「……さぁ?俺もよく知んね。」
「そうアルカ。」
「なんだ?そんなにアイツのこと心配なのか?」
「違うに決まってんダロ。」
「……じゃあなんでだ?」
「サドが溜息とか、気持ち悪いネ。」
「……確かに、な。」
そんな会話、俺の耳に届かないと思ってるのかねィ。
「(あいつら後でシメる、決定。)」
あれから俺は姫路野凛華を探した。
しかしみんなみんな帰ってくる言葉は同じ、「知らない」。
姫路野凛華自身を探そうとしても家も知らない。俺はあいつの身元情報を何一つ知らない。
本当にあれは幻だったのだろうか?でも幻をこんなはっきりと覚えているだろうか?
突然消えた「姫路野凛華」という存在。
「……くそ。」
なんか今の俺は探偵気分だ。あの江戸川〇ナンみたいな。今回の謎も解けるかねィ。
俺は再び溜息をつき窓から外を眺める。
「……凛華。」
相変わらず俺は外を眺める習慣がある。今までは理由があり行動していたが、理由なしでもやっていた。
今見ても姫路野凛華はいない。
そんなことわかってる、わかってるけどこの気持ちを抑えるためにはこうするしかないんだ。
どっくん
どっくん
血が全身に通っている感覚がわかる。それと同時にふいに心臓辺りが締め付けられる。
「痛てぇ……。」
肉体的に痛いわけではない。どこも怪我してねーし、持病も持ってない。
これは、この痛みは感情から。
愛しすぎて、凛華が愛しすぎて会いたすぎて抱きしめたすぎて起こる現象。
ここ最近は毎日。
「凛華……。」
会いたい。 溢れる感情は複数 このまま放っておけば受け皿から溢れ出し中身が零れる。
そんな勿体ないことしたくないねィ。
だからその前に、早く掬いに来い。 もどる
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