( 1/1 ) 私は無意識に自分を守っている。それは私だけではなくみんな持っている反射神経。
この反射神経は生まれた頃から今まで、何度も何度も使ってた。
今回もそれを無意識に使っちゃったの。残念ながら。
きっと嫌われただろうな。いや、絶対嫌われた。
というか嫌われたい。じゃないと、なんか、やっていけないよ…。
ガチャッ
外はもう真夜中。辺り闇に包まれていて今自分がどこにいるかもわからなくなるぐらい。
そんな時間に私は学校を訪れた。理由は簡単、訪れる理由があったから。
コツ コツ
足音が響く。こんな時は妙に緊張感を持つはずなのに不思議となかった。寧ろ哀しみと申し訳なさで頭がいっぱい。
「総悟くん……。」
彼は本当に優しい人。
時々やりすぎちゃうこととかあるけど不思議と嫌ではなく。いつの間にか私は彼と過ごすのが日常となってしまった。
こんな日常、後で辛いだけなのに。
「会わなければよかったかな?」
そうしたらこんなに苦しまなくてこんなに辛い思いをしなくてすんだのに。
けど、
彼に会って楽しかった、嬉しかった。毎日の日常がキラキラ輝いていて、総悟くんと話すだけでテンションが上がって、帰り道名前で呼ばれたのすごく嬉しかった。
彼に会って生きる素晴らしさを知った。
彼に会って恋する気持ちを知った。
彼に会って、愛することを知った。
総悟くんには一生じゃ返しきれないものばかりを貰った。
「ありがとう、総悟くん。」
私はある教室の前で止まる。そこは「理科準備室」と書かれていた。迷いなくその扉の取っ手を握り開ける。
ガララッ
コツ コツ コツ
「ごめんなさい。……ごめんなさい。」
私は「ある薬品」を手に取った。 数えきれない程の 総悟くん、ごめんなさい。
貴方から数えきれない程の輝きを貰ったのにそれを返せなくて。
黙っていなくなる私を許して下さい。 もどる
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