( 1/1 ) 見てみないふり。
俺の/私の得意技。都合のいい時だけ使えるいい技なんだ。
けど結局それは現実逃避してるわけで、後でツケが返ってくる。
その時俺は/私はきっと言うだろう。
「どうして自分だけが不幸になるんだ。」 「サドは凛華のこと好きアルカ?」
「……は?」
昼休憩、ひとりで机に座り焼きそばパンを食っている時の出来事。隣にいるチャイナが急に聞いてきた。
「なんでィ急に。気色悪ィ。」
「うるさいネ!!いいから答えるヨロシ!!」
瓶底眼鏡から目が見える。それは真剣さを十分語っていた。
「……さァ?」
見えていたけどあえてごまかす俺。勿論チャイナに怒られるだろうな、そう思っていた。
「ふーん。」
意外にもチャイナは普通に聞き流す感じでそのままお弁当を食べ続けていた。
「なんで急に聞いてきたんでィ。」
素直な質問。それにチャイナは素直な答えを返してきた。
「お前いい加減自分の気持ちに素直になれヨ。バレバレネ。」
「………。」
答えの意味はわかった。そこまで俺は馬鹿じゃねェ。
けど、これはただの予感でしかないがこのままこれを恋と認めたら…、
「凛華がいなくなりそうで、」
恐いんでィ、そう呟いた。チャイナはそれを聞き逃さなかった。
「もしその憶測が当たっていても気持ちには素直になれヨ。自分殺して生きていくのは辛いネ。」
俺はそれを頬杖かきながら聞いていた。
「だから、」
チャイナは席を立ち俺の目の前に立つ。
ガクンッ
「いでッ!?」
俺の頭を支えていた腕を急に引っ張った。俺はそのまま机とこんにちわ。
そんな俺を笑いながらチャイナは話を続ける。
「当たって砕ける気持ちでいけばいいネ。それは後悔よりマシアル。」
そう言って教室を出て行った。
「後悔、か。」
何故かその言葉を聞いた時胸が疼いた。
ガタンッ
大好きな焼きそばパンを放り投げて、俺は廊下を駆けった。 素直な気持ちをあなたに 後悔はしたくない。
姉上の時のような気持ちはもう二度としたくない。
そんな感情が俺の中でグルグル回りながらも行き先はキープ。
行き先は勿論、凛華のところだ。 もどる
|
|