( 1/1 ) 凛華と出会い、早1ヶ月が経った。気づいたらもう少しで夏休みという頃になっていた。
帰りふたりで帰るのが当たり前になったこの頃。凛華はいつも笑顔だったのが印象的だ。
泣きたいだろうに。そんな時も目をウルウルさせながら笑顔絶やさず俺に接していた。
悲しかった。俺はそんなに頼りないかと。お前の涙を拭うことはできないのかと。
「……凛華。」
「…………。」
「凛華。」
「……え、あ。ごめんね!少しボーッとしてて。」
そう言って掌で自分の顔を隠す。涙を隠したいのだろう。しかしバレバレだ。
「凛華。」
足を止め、横にいる凛華の肩を掴みこちらを向かせる。
「我慢すんな。」
「や、」
また涙目を隠そうと腕を動かすがそれを掴み阻止する。
「別に迷惑だと思わねー。寧ろ見せてくれない方が迷惑。」
「!」
「俺は凛華には感謝してるんでィ。落ち込んでる時突然現れてよ、けどそれが今となっては元気の源だ。」
細っこい腕を引っ張り、華奢な体を抱きしめる。
「俺はお前の涙を拭いたい。」
「………。」
「ダメかィ?」
そう聞き凛華を覗き込もうとした時。
ギュゥッ
背中に腕が回ったのを感じた。
「総、悟。」
「うん。」
「総悟、」
「うん。」
「そ、ぉご。」
「うん。」
「総悟ォォォォォ!!」
凛華は大声を上げて泣いた。俺の背中にある腕の力がとても強かったのを覚えている。 君の真の弱さ なんでお前は俺の前では笑顔でいるんだ?別に泣いて喚いても俺は文句ひとつ言うつもりもないのに。
泣き顔も怒った顔も笑顔も独り占めしたいと思う俺は欲張りだ。
姉上。いつから俺はこんなに我が儘な子になったんですかねィ? もどる
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