( 1/1 ) 「ぐあぁぁぁ。チクショー。」
この頃の俺は少し悩み中。
凛華からご褒美貰えたり、名前呼びできたり。嬉しいこと続きだったのだが。
「(心臓がバクバクしまさァ。)」
普通にドキドキだったら凛華に近づいて話すことができる。けどもうそりゃ周りに聞こえるんじゃないか、ってくらい大きな音を出して動くのがこの頃の心臓。
最近の俺はおかしい、とやっと気づいた。
妙に凛華に会いたくなるし、追い掛けたくなるし。そもそも一日中凛華のことしか考えていない気がする。
こんなことになったおかげで凛華とは少しの距離を保った。
俺の心臓の音が聞こえないように頑張って押さえて。
けど押さえれば押さえる程この心臓はドSなのかさらに鳴ろうと頑張る。
つかこんなとこで頑張んなよ。他んとこで頑張れよコノヤロー。
「総悟ォ!体育行くぞォォ!」
ゴリラ、じゃねーや。近藤さんが俺を呼ぶ。
こんなあちー時によく体育なんかやってられんなァ。
「今行きやすー。」
冷えピタを持ち近藤さんのところへ走っていった。
―――――――………
「だりィィ。あちィィ。」
カンカン照らす日差しの中、どういうイジメなのか俺らは走っていた。なんでもウォーミングアップらしい。
「土方おぶれよコノヤロー。」
「人に頼む態度かソレ!?」
「なんでィ。じゃあちゃんと頼んだらおぶってくれるんですかィ?」
「んなわけねーだろ。」
「……死ね、ヘタ方。」
「聞こえてんからなァァ!?てかそれわざと全部聞こえるように言ってんだろ!!」
待て総悟、と土方コノヤローが追い掛けて来る。
こんな暑苦しい時に追いかけっこですかィ。陽気な野郎だ。
俺はそれを軽くかわす。
フッと校舎の方に目がいった。教室の窓からは凛華が笑顔で眺めていた。 想い病気 どうしてくれんでィ。
凛華のせいで、また心臓は煩くなるし土方コノヤローには捕まるし。
やっぱ最近の俺はおかしい。
それは全部凛華のせいだ。 もどる
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