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あれから俺は週に2回部活に出ることにした。


体の方は鈍っていなかった。むしろ絶好調だが毎日部活に出れる気分ではなかった。


剣を振ると思い出す姉上の笑顔。それが頭に過ぎり泣き出したくなる。シスコンだと思われていい。けどこんな調子で迷惑かけるのはやるせない。


「総悟、次移動教室だぞ。」


「次はなんですかィ?」


「生物だよ、生物。」


「……仕方ねー、行きまさァ。」


机の中から授業道具を出し、それを怠そうに持ち教室を出る。


「ふぁ……。」


大きく欠伸をする。


「あ、総悟君!」


突然名前を呼ばれ振り返る。そこには姫路野がいた。


俺はすぐ土方さんに先に行くよう伝え姫路野に近づく。姫路野も友達といたらしく先に行くよう伝えてわかれた。


「姫路野じゃねーかィ。」


「姫路野です!総悟君移動教室?」


「あぁ。生物なんだとよ。」


「そうなんだー。だから面倒臭さそうなんだね。」


「オウ。生物は眠てェから。」


「うーん。じゃあ1時間授業真面目に受けたらご褒美あげるから!」


「……まじで?」
 
 
「まじで。用意しとくね。」


それじゃ、と言い姫路野は去っていった。


褒美が物なのは残念だがやる気は出た。なんせ姫路野から褒美が貰えるのだから。


「ぜってー寝るもんか。」


俺は廊下を走って行った。










――――――――………










「総悟、お前珍しいな。」


「何が?」


「何が、てお前生物ずっと起きてたじゃねーか。」


「俺だってたまには真面目に授業受けるんでィ。」


「ほォ。いつもこうなら面白れーのにな。」


そう言ってニヤニヤする土方。うざってーな。


「土方、死ね。」


「んだとコラァァァァ!」


隣でぎゃーぎゃー騒ぐ土方さんを無視し俺は窓を眺める。


「……土方さん。」


「あ?」


「先、教室帰ってて下せェ。俺ァ忘れモンしたんで。」


土方さんに荷物を押し付け俺は走り出した。後ろから叫ぶ声がするが全部無視した。


「はぁ、はぁ。」


階段を一気に駆け降り、長い長い廊下を真っ直ぐ突き抜ける。端っこまで行ってドアを開け外廊下に出る。そこをまた更に真っ直ぐ突き抜け右に曲がると。


「姫路野・・・っ!」
 
 
「え?」


外廊下を歩いている姫路野がいた。


「総悟君どうしたの?そんな息切らして。」


「いや、外、見たら、姫路野が、いたから。」


すぅー


深く深呼吸をする。それを何回か繰り返し息を元に戻す。


「褒美、もらいにきた。」
 
 
 
 
 
 
 
君の姿、とらえて
 
 
 
 
 
 
 
そう言うと彼女は笑い俺の掌に飴玉をひとつ乗せてくれた。

「私の好きな味。誰にも渡したことないんだ。総悟君だけ特別だよ。」

俺はその特別を口の中へと放り込む。

甘酸っぱい味がした。

 
 
 
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